夫の定年がもうすぐ。プロがアドバイスする「死別も視野にいれて」やっておくべき年金・節約術
生命保険(死亡保険)
死亡保険は、残された家族が困らないために加入しておくもの。子どもが成人したあとは、大きな保障は必要ありません。「お葬式代ぐらいは用意しておきたい」という人もいますが、今のお葬式は家族葬が中心で、貯蓄があれば保険は必要なくなります。子どもが成人したときや就職したとき、定年退職したときなどに、解約や減額を検討するといいでしょう。
見直しポイント
解約返戻金の有無をチェック
終身保険などは、解約返戻金(解約したときに受けとれる貯蓄分)があるかどうか確認しましょう。解約返戻金が出る保険は、すぐに解約すると損をするケースもあります。
→解約保険金がない場合
解約返戻金がない定期保険などは、いつまで保険料の支払いがあって、保障はいつまで続くかなど、確認を。不要な死亡保障は、思い切って解約してもいいでしょう。
→解約返戻金がある場合
一般に、解約返戻金は、長く続けるほど増えていきます。特に1980年代~1990年前半ごろに契約した保険のなかには、貯蓄性が高い「お宝保険」とよばれるものがあり、長く置くほど有利な予定利率で解約返戻金がアップ。
いつ解約するといくら受けとれるのか、確認しましょう。金額は保険証書に出ていますし、出ていない場合は保険会社に問い合せると教えてもらえます。
「お宝保険」は払済保険の検討も
お宝保険は、解約返戻金を使いたい時期まで解約しない方が得策です。
保険料の支払いが続いていて負担な場合は、保険料の支払いだけストップして、契約を生かしながら支出をおさえることも可能。「払済保険」といって、保険料の支払いをやめた時点での解約返戻金を元に、保険期間は同じで保障額を減らした同じ種類の保険に変更できます。各種特約はすべて消滅しますが(一般にリビングニーズ特約は継続)、原則として元の保険の予定利率が引き継がれます。
ただし、解約返戻金が少ない「低解約返戻金型」(解約払戻金を少なくして保険料をおさえた保険)や保険の種類などによって、払済保険が利用できないものもあるので保険会社に確認してみてください。
プロフィール
井戸美枝
ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、社会保険労務士、国民年金基金連合会理事。生活に身近な経済問題、年金・社会保障問題が専門。「難しいことでもわかりやすく」をモットーに、雑誌や新聞に連載を持つ。『親の終活 夫婦の老活 インフレに負けない「安心家計術」』(朝日新書)、『一般論はもういいので、私の老後のお金「答え」をください!増補改訂版』(日経BP)など著書多数。
ホームページ:http://mie-ido.com
Twitter:@mieido
※この記事は2024年9月6日に文章構成を変更しました。
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