夫の定年がもうすぐ。プロがアドバイスする「死別も視野にいれて」やっておくべき年金・節約術
夫の定年退職がもうすぐ。その前にしておかなくてはいけないことは何でしょう。安心して老後を過ごすためには、早めの準備が欠かせません。ファイナンシャルプランナーの井戸美枝さんに、年金・出費・保険の見直しポイントについてアドバイスいただきましょう。
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【夫がもうすぐ定年のEさんの悩み】
もうすぐ夫が定年を迎えます。安心して老後を迎えるために、今からどんなお金の準備をしておけばいいですか。夫亡きあとおひとりさまになったときも心配です。
【井戸さんのアドバイス】
●夫婦の年金額、夫に先立たれおひとりさまになったときの年金額を確かめておきましょう。
●年金額にあわせて、出費を徹底的に見直しましょう。
●見直しは、効果が大きい保険から。ムダを省きつつ、万一に安心な保障の確保を。
厚生労働省によると、2021年の平均寿命(0歳の平均寿命)は、男性81.47年、女性87.57年。40年前と比較すると、日本人の平均寿命は、男性は約4年、女性は約6年延びています。
長い老後を安心して過ごすために、早めの準備は欠かせません。女性の場合、夫より長生きする可能性が高いですから、夫亡きあとの「おひとりさま」時期のことも想定して、家計を整えていきましょう。
年金額にあわせて、支出を徹底的に見直す
老後は年金で暮らしながら、足りないお金を貯蓄で補って暮らすことになります。
そこで、今からやっておきたいのは、支出の徹底的な見直し。生活費をダウンサイジングして年金の範囲におさえられれば資産の目減りがゆるやかになり、“資産寿命”を延ばせます。
たとえば、ボーナスを含む平均的な収入が43万9000円で40年働いた夫と専業主婦の妻の場合、夫婦2人の年金の受給額は月22万4482円。夫が亡くなったあとの妻の年金は、遺族厚生年金がプラスされて約13万円です。夫の退職後、収入が公的年金だけに限られてくると、支出をできるだけその範囲に収めなければなりません。
夫や自分の年金額がいくらになるか、日本年金機構から送られてくる「ねんきん定期便」で確かめましょう。50歳以上のねんきん定期便には、現在と同じ条件で60歳まで働いた場合の年金額が記されています。夫亡きあとおひとりさまになったときの年金額も、「夫の厚生年金の4分の3+自分の老齢基礎年金」で計算してみてください。50歳未満の場合は、「公的年金シミュレーター」で計算すると便利です。
そのうえで、今の支出から、削れる出費をチェックします。支出の中身が把握できていない人は、口座の引き落としやカードの支出明細を見ながら、ざっくりと書き出してみるといいでしょう。