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年金暮らしで夫に先立たれたら、年金はどうなりますか?井戸美枝さんがアドバイス【2023年お金部門人気記事TOP3】

公開日

更新日

横田頼子

マチュアリストの2023年「お金部門」の人気記事をご紹介します。
※記事の初出は2023年11月。内容は取材時の状況です。
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年金受給中に夫に先立たれたら、年金はどうなるかご存じでしょうか。また、共働きの場合の遺族年金については? 遺族年金と繰り下げ受給については? 年金の仕組みは複雑ですが、概要に触れておくと少しは安心できるかもしれません。ファイナンシャルプランナーの井戸美枝さんに教えていただきましょう。

★前回はこちら★

夫に先立たれたら、年金はどうなるか知っていますか?井戸美枝さんのアドバイス

【年金暮らしBさんの悩み】
夫婦で年金を受け取っています。夫は今は元気ですが、先立たれたときのことを考えると不安です。年金はどうなりますか。注意すべき点があれば知りたいです。

【井戸さんのアドバイス】
・年金受給中に夫に先立たれると、夫婦ふたりのときより年金額が減ります。
・遺族厚生年金を受けとると、妻の年金は繰り下げできなくなります。
・夫が繰り下げ期間中に亡くなっても、遺族厚生年金は増額されません。
・遺族年金は非課税なので、税金や健康保険料の負担は減る可能性が大!

年金生活で夫に先立たれると、ふたりのときより年金は減る

年金生活で夫に先立たれると、年金額は夫婦ふたりのときより少なくなります。夫が会社員や公務員(第2号被保険者)の場合、厚生年金から遺族厚生年金が受給できますが、金額は夫が受けとっていた老齢厚生年金の4分の3になるからです。

例:夫の年金が17万円(老齢基礎年金6万円+老齢厚生年金11万円)、妻の年金が6万円(老齢基礎年金)の場合

夫婦ふたりのときの年金額 
夫の年金17万円+妻の年金6万円=23万円

夫に先立たれたあとの年金額 
夫の遺族厚生年金8万2500円(11万円の4分の3)+妻の年金6万円=14万2500円

→年金は、約6割にダウン!

平均寿命からいって、男性より女性の方が長生きする可能性が高いので、夫婦ふたりのあいだに、妻の年金を繰り下げて増やしたり、夫婦ともパートなどで働いて貯蓄の目減りを防ぐなどの対策をとっておくと安心です。

夫の遺族厚生年金をもらうと、妻の年金は繰り下げできなくなる

もう一つ、遺族厚生年金には、覚えておきたいルールがあります。

それは、遺族厚生年金をもらっている人が65歳になり、年金受給年齢になると、自分の年金を優先してもらわなければならないこと。つまり、自分の老齢基礎年金や老齢厚生年金は、繰り下げることができなくなります。

たとえば、妻が60歳で遺族厚生年金を受けとるようになった場合、65歳になると、遺族厚生年金+自分の老齢基礎年金を受取らなければなりません。自分の老齢基礎年金のみ繰り下げたいと思っても、できないので注意しましょう。

同様に、妻が繰り下げ待機中に夫が亡くなった場合も、繰り下げ待機をやめなければなりません。たとえば、妻が68歳で70歳受給を目標に自分の老齢基礎年金を繰り下げているとき、年金受給中の夫が亡くなると、繰り下げ待機はやめることになります。

その場合、自分の年金の受け取り方は2つあって、一つは65~68歳までの3年分の年金(増額なし)をまとめてもらって、以降は本来の年金額を受取っていく方法。もう一つは、68歳時点で増額した老齢基礎年金をもらい始める方法です。

妻が70歳受給を目標に老齢基礎年金を繰り下げていたとき、夫が死亡。
→妻の年金の繰り下げはできなくなる。

繰り下げ中の年金の受け取り方法は2つから選択する。

例:妻が68歳で繰り下げ待機中に夫が亡くなった場合。
妻のもともとの年金が6万円(年間72万円)だとすると、
次の2つから、受け取り方を選択。

●68歳まで繰り下げた増額率(25.2%増)で、年金を受給。
以降、72万円×125.2%=90万1440円の年金を受給。

●65~68歳までの3年分の年金を受けとり、以降は当初の予定通りの年金を受給。
72万円×3年=216万円を受け取り、以降は72万円の年金を受給

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