【アロエ・ベラ】の栽培方法と活用アイデア2選|桐原春子さんの育てて楽しむハーブ生活
「ハーブは暮らしに役立ててこそ、楽しい!」と話すのは、長年にわたってハーブを育て、その利用法を研究してきた桐原春子さん。本連載では、毎回1種類のハーブを取り上げ、栽培方法や活用方法、歴史などを教えていただきます。第22回は【アロエ・ベラ】です。
本連載の他、桐原春子さんの記事は桐原春子さんの育てて楽しむハーブ生活をご覧ください。
欧米ではこちらが主流【アロエ・ベラ】
アロエというと濃い緑色のキダチアロエを思い浮かべる人が多いようです。
でも、ハーブの世界ではベラ種が古くから知られてきました。新しい視点でアロエを見直してみましょう。
科名/ツルボラン科
性質/多年草
草丈/30~200㎝
薬用、食用、美容に幅広く利用
アロエ・ベラとはやや聞き慣れない名前かもしれませんが、「ベラには“真正”とか“正統”という意味があります。ベラ種は葉は美しい灰緑色ですが、栽培条件により緑が強いものや、葉に斑点が入るものもあり、欧米ではこれが主流です」と桐原春子さんは言います。
葉は肉厚で、表皮をはぐと中は透明なゼリー状の組織になっていて、これを薬用や食用に、また葉の表皮も下剤などに利用されています。
「クレオパトラはゼリー質を肌に塗って日焼けを防ぎ、美しい肌を保ったそうですし、紀元1世紀の書物には目薬、傷薬、駆虫剤、緩下剤などの利用法があると記されています」
現在でも便秘改善、老化予防、胃酸過多が原因の胃炎などに効果があるとされます。桐原さんは、小さなやけどをした際にゼリー質を患部にのせ、包帯で留めて手当てしたり、化粧水を作ったこともあるそう。
「ゼリー質を、刺し身のようにしょうゆにつけて食べたり、ヨーグルトに加えたりもします。口中に広がるねばねばが特徴です」
その他、サラダや冷たいスープに加えるといった使い方もできます。
冬の寒さからゼリー質を守る
アロエ・ベラを栽培する際は、一般の園芸用培養土に植えれば特に肥料を与える必要もなく、根づけば水もたまに与える程度で大丈夫。ただし非耐寒性なので鉢植えにし、冬は室内に取り込むか防寒をします。
「アロエ・ベラは水分の多いゼリー質を多く含むため、気温が低いと凍ってしまいます。温暖地であれば緩衝用のプチプチシートなどで鉢ごとくるみ、風の当たらない軒下で管理してもよいでしょう。繁殖は株分けや、切った葉を土に挿して行います」
観賞価値の高い多肉植物
スタイリッシュなフォルムが印象的なアロエ・ベラを鉢に植え、明るい窓辺に置きました。多肉植物がブームの今、観賞用として、また暮らしに役立つ植物として大事に育ててみては。
夏には、90㎝ほどに伸びた花径の先に黄色やオレンジ色の花を穂(すい)状に咲かせます。