年金月5万円で生活する紫苑さんの、住まいとお金のストーリー。「節約は創造的な行為です」
「ひとり暮らしの自炊は面倒というのもわかりますが、私はひとりだからこそ、健康的な食事をして元気でいなくちゃと思ったんです。そして実際にやってみてわかったのは、体にいいものは安価であるということ」
たとえば、安価なイワシや鶏むね肉は、味つけのアレンジも効く上に、年を重ねると不足しがちなたんぱく質もとれ、栄養面でもばっちり。安価な旬の野菜を使ったうす味の料理は体にやさしく、胃もたれもしません。
「以前は調子が悪くなると年のせい、体質のせいなんて思っていたんですが、生活習慣のせいだったんですよね。体が元気になると、不思議とやる気も湧いてきて日々が楽しい。今はプチプラDIY にはまっています」
100円ショップのリメイクシートをキッチンの棚に貼ったり、古着をほどいてカーテンやエプロンにリメイクしたり。お金をかけずとも、自分の創意工夫で暮らしはぐんと豊かになるし、むしろ、ちゃちなものに囲まれていたほうが気が楽だと紫苑さんは言います。
「だって、私が死んだあとに、自分の趣味じゃない高価なものが残っていたら、子どもたちが処分に困るでしょ」
こんなふうに、一見マイナスに思えることを違う視点で考えられるようになったのも、節約生活の恩恵。
「お金がないのは自己責任だなんて言われたりもしますが、楽しく生きているんだから卑下することはないよねって。お金がなくなったから不幸が始まるんじゃなくて、自分はダメだと卑下することがいちばんよくない。むしろこの転機がなければ、ずっとお金の不安にさいなまれていたように思います。節約はみじめではなく、自分で自分を満たせる、創造的な行為です」
【後編につづく】
※この記事は『大人のひとり暮らし 住まいとお金』主婦の友社編(主婦の友社)の内容をWeb掲載のため再編集しています。
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