パートやアルバイトの入社・契約更新時に、チェックすべき労働条件のポイントは?
❸「無期転換」の申し込みの機会と転換後の労働条件
一つの会社で契約更新を繰り返し、通算契約期間が5年を超えると、期間の定めのない無期労働契約への転換を申し込むことができます。これを「無期転換ルール」といいます。
13年に導入された制度ですが、まだまだ浸透していないのが実情です。そこで今後は、無期転換ルールの対象となる方が契約更新を迎えた際に、「あなたは無期転換の申し込みができますよ」と会社が示すことになりました(前ページ図2の②)。
図1のとおり、無期転換を申し込めるタイミングは、契約期間によって異なります。契約期間が1年の場合は、契約締結から5回目の更新後の1年の間に「無期労働契約に転換したい」旨、申し込むと、6年を経過したタイミングで無期労働契約に転換できます。また、契約期間が3年の場合は、1回目の更新後の3年の間に申し込みが可能ですが、実際に転換できるのはやはり6年を経過したタイミングとなります。
無期転換は、労働者から申し込んで初めて可能となります。通算契約期間が5年を超えると自動的に無期労働契約となるわけではない点に注意が必要です。
今後は、無期転換をした後の労働条件に変更があるかどうか、そして、変更がある場合はその内容も示されます。ただし、無期転換で変わる条件は、原則、契約期間だけです。正社員と同じ待遇になるわけではなく、基本的に給与などは従来と変わらない、という点も押さえておきましょう。
労働条件に明示すべき事項が追加されたことで、パートやアルバイトの方はこれまで以上に長期的な見通しをもって働けるようになるのではないでしょうか。条件をきちんと把握することで、働き方の選択肢が増えるかもしれません。ぜひ、今一度ご自身の労働条件をしっかり確認していただきたいと思います。
●法制度などは、2024年1月末現在のものです。
※この記事は「ゆうゆう」2024年4月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のため再編集しています。
★あわせて読みたい★
社会保険労務士
北村庄吾
きたむら・しょうご●1961年生まれ。熊本県出身。社会保険労務士、行政書士、ファイナンシャル・プランナー。ブレイン社会保険労務士法人代表。年金制度に造詣が深く、テレビ出演多数。
きたむら・しょうご●1961年生まれ。熊本県出身。社会保険労務士、行政書士、ファイナンシャル・プランナー。ブレイン社会保険労務士法人代表。年金制度に造詣が深く、テレビ出演多数。
ゆうゆう2024年4月号
年齢を重ねると「いつかはひとり」の不安を感じることが多くなります。大切な家族や親しい友人が亡くなったとき、あるいは日常のふとした瞬間に、言葉にできない「孤独」を感じることはありませんか? たとえ「ひとり」でも、自分の時間を充実させ楽しむことができれば、人生は違ったものになるかもしれません。そこで『ゆうゆう』4月号では「ひとり上手」になるためのヒントを集めました。女優の川上麻衣子さん他、ひとり時間を楽しんでいる方のインタビュー、心地いい「ひとり暮らし」のお宅拝見、そして、ひとりの不安や悩みに答える「ひとりの相談室」。今、家族と暮らしている方にも、ひとりで暮らしている方にもお役立ちの内容です。
※「詳細はこちら」よりAmazonサイトに移動します(PR)