91歳 樋口恵子さんは猫が欠かせません「深い愛情を注ぐ対象がいることは、脳の健康にもよさそう」
91歳の評論家 樋口恵子さん。これまで、楽しみは明らかに「文化系」の資質でしたが、最近は「体育会系」にシフトしているそうです。話題の書籍『老いの地平線 91歳自信をもってボケてます』から、樋口さんの日常を教えていただきます。
※2023年10月16日に配信した記事を再編集しています。
年齢を重ねたら、文化系より体育会系
私の個人的資質からいうと、私の娯楽・レクリエーション・息抜きは明らかに文化系です。
子どもの頃からピアノを習い、音楽のサークルに所属。高校時代は新聞部に属して、本を読んだり、演劇などを観たり、ずっと文化系で過ごしてきました。
でも、年齢を重ねるにつれ、演劇でも音楽でも「出かけて観る・聴く」ことには定年があるということがわかりました。出かける能力・体力がなくなると、これらの文化系活動はできなくなるのです。
私がそうした文化系の楽しみを享受していられたのは、非常にマメで気配りがよく、きっぷのよいお姉さまがいらっしゃったからでした。
ところがある日、肝心のお姉さま自身が「私、一幕一場がもたなくなっちゃったのよね」とおっしゃいました。お手洗いです。
あるときは急いでトイレの順番を待とうとして、転びそうになったとのこと。「これはもう出かけられない」ということになりました。
私も、芸術鑑賞の帰りにタクシーを確保するのに苦労した経験があります。どこかに出かけていって観る・聴くということには、やはり限界があるなあと思いました。
私の今の生活はというと、お金も時間もかなり体育会系にシフトしています。まあ、言葉をかえれば「リハビリ」なのですけれど。
1週間〜10 日に1回、なるべく月に3回は体を動かすようにしています。1回1時間、リハビリ体操の個別指導を受けているのです。
このリハビリをすると血の巡りがよくなるような気がします。体操後は助手からも「顔色がよくなったわね」と言われるんですよ。
文化系を好む方の邪魔をする気はさらさらありませんが、長らく生きてまいりましてつくづく思うことは、年齢を重ねるほど生活の中に、体育会系の要素を増やしていったほうがいいんじゃなかろうか、ということです。体って、いのちの器ですものね。
91歳の私が声を大にして推奨いたします。