多良久美子さん・81歳。息子は重度知的障がい、娘は早逝「心配事を一つずつ取り除けば残るのは楽しいことだけ」【後編】
何かあったときに頼れる制度を知っておく
息子のことだけではない。多良さん夫婦には頼るべき子も孫もいない。それでも不安はないと言う。
「単に楽観的ということじゃないんです。『こうなったらこうしよう』というシミュレーションをさんざんしてきているから、不安がないんです。社協の仕事をする中で、多くの高齢者と関わり、相談に乗ってきた経験がありますから、何かあったときにどんな制度を利用できるかも知っていますしね」
だから、漠然と不安を抱えることはしない。
「心配事があれば洗い出し、一つずつ取り除きます。そして考えても答えが出ない悩みは、もう考えない。そうすれば、あとは楽しいことしか残りませんよね(笑)」
ずっと忙しく走り回っていた70代までの日々。ようやく今、自分のために使える時間が手に入った。
「趣味は機織りです。53歳のとき、息子が今の施設に入所して時間ができたので、念願だった機織りを始めたんです。でも少しして義理の両親の介護が始まって、続けられなくなりました。それでも諦めるのではなく、細切れの時間を使って少しずつでも織り続けてきた。日常を離れて機を織ることで、支えられた部分があったんですね」
夫婦二人と障がいのある息子の、穏やかで凪のような現在の日々。できればこのままゆったりと、最期まで自宅で過ごしたいと願っている。でも、そううまくいかないかもしれない。それも覚悟のうえだ。
「認知症になるかもしれないし、動けなくなるかもしれない。そしたら『長い間ありがとう! ご苦労さまでした』と体に感謝したいです。どんなことにも深刻にならない、それが私らしい生き方です」
古布を糸にして織る「裂き織り」が大好きです
私の姪が米国在住の友人から、店に置くエプロンのデザインを依頼されました。その肩ひもに、私の織った裂き織りを使いたいというのです。趣味の裂き織りが世界に羽ばたくことになりました。
※この記事は「ゆうゆう」2024年6月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。
撮影/林 ひろし 取材・文/神 素子
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