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パートタイマーの働き方が変わる!? 「130万円の壁」対策とは?

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ゆうゆう編集部

ポイント❷ 「連続して2回まで」

会社員が加入する健康保険には、主に中小企業にお勤めの方が加入する「協会けんぽ」と、主に大企業にお勤めの方が加入する「健康保険組合」があり、被扶養者に該当するかどうかの認定はこれらの健康保険(保険者)が行います。たとえば、協会けんぽでは、毎年1回、10月頃に被扶養者の収入を確認し、扶養の対象かどうかを判断する扶養確認を実施しています。

ご紹介している新たな仕組みは、人手不足を補う一時的な措置であるため、適用される回数は被扶養者1人につき「連続して2回まで」としています。協会けんぽなど保険者が行う扶養確認の機会を1回と数えますので、扶養確認を1年に1回行う保険者なら、「連続して2年まで」、この認定が受けられます。

ポイント❸ 「事業主の証明書」が必要

扶養にとどまるには増収が一時的であることの事業主の証明が必要です。

ご自身の勤務先に証明書を発行してもらい、これを夫の勤務先を通じて保険者に提出します。

証明書の様式は厚生労働省のホームページで確認できますが、その項目は、「当初予定していた年収」「予定を超えた残業の期間」「その期間の収入額」など、ことのほかシンプルです。扶養確認の際に、保険者から通常求められる書類と一緒に提出すればよく、130万円以上になったからといって、すぐに出さなければならないものではありません。しかし、保険者によって対応が異なる場合がありますので、「壁」を越えることが見込まれる方は、早めに勤務先などに相談しておかれるとよいでしょう。

最後に、具体的な事例で流れを確認しましょう。下の図1は、月収10万円(年収120万円)を見込んで扶養内で働いていたパートタイマーが、繁忙期の残業によって一時的に「130万円の壁」を越えてしまったケースです。原則的なルールでいけば扶養から外れることになるわけですが、次に到来する扶養確認の際に「事業主の証明書」を提出することで、引き続き配偶者の扶養に入ったまま働くことが可能になります。

「130万円の壁」に対応した被扶養者認定の仕組みは、当面のつなぎ措置といわれていますが、「年収の壁」にとらわれることなく働ける環境整備は今後も加速していくと思われます。「年収の壁」を越えた働き方には負担が伴うため、つい目先の損得ばかりに気を取られがちです。しかし、負担の先にある給付にも目を向けていけば、働き方の選択肢はもっと広がるかもしれません。

参考/厚生労働省

●法制度などは、2024年4月現在のものです。

※この記事は「ゆうゆう」2024年7月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のため再編集しています。

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監修者

社会保険労務士

伊藤紀代美

いとう・きよみ●人事労務の専門家として、企業の労務相談や給与計算、社会保険手続き、助成金申請など幅広い業務を担当。共同通信社「経済ウィークリー」のコラムなどを執筆。

いとう・きよみ●人事労務の専門家として、企業の労務相談や給与計算、社会保険手続き、助成金申請など幅広い業務を担当。共同通信社「経済ウィークリー」のコラムなどを執筆。

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