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【虎に翼】寅子(伊藤沙莉)が穂高(小林薫)を許さなかったのはなぜ?感情の爆発に、どこか親子喧嘩に近いものも感じる

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田幸和歌子

いっぽう、寅子と優未(竹澤咲子)の関係性にも影を落としそうな気がする週の幕引きとなったところがなんとも気がかりだ。いつもハキハキ「ハイ!」と寅子に答え、母の前で優等生であろうとする優未。それはおそらく、「本当の優未」ではなく、母が喜ぶ優未、母が喜ぶ「親子」像を演じているのであろう。優未の「ハイ!」という姿は、これまでもけなげに映ってきたが、それが大きな問題につながってしまうかもしれない予感がする。

前週の梅子と息子たちとの関係、今週の穂高と寅子、栄二の家族の関係、そういえば花江と道男(和田庵)、そして息子たちとの関係も、やや恋愛要素も盛り込まれつつも血のつながらない親子、きょうだい的な関係性が感じられるかもしれない。そして次週で描かれるであろう寅子と優未は……。

さまざまなかたちで、家族・親子という概念を、法律上の関係でなく本質として見せてくれるいっぽうで、医者の不養生ではないが、家裁でさまざまな家族の問題の解決につとめながらも自分自身の家族のバランスは崩れていってしまう(だが自分の考え全肯定な寅子自身は、そこに全く気がついていなさそうである)。

「虎に翼」第66回より(C)NHK

これまで純度の高い理想と正論で突き進んできた寅子は、やはりすべてに完璧を求めてしまう一面がある気がする。それは娘の優未にすらそうだ。優未ががんばってとった84点のテスト。従兄弟にあたる花江(森田望智)の息子たちが「84点もとった」と言っているのに、「もう少しがんばれば満点」という評価で返す寅子。仕事人としては優秀だが、母としては娘の喜びを全く受け止めてあげられていない時点で失格ではないだろうか。

そんな寅子の優秀で完璧主義であるがゆえのひずみが、少しずつ出てきているように見えるなか突入する第15週で、寅子と優未の関係性を通じて、家族・親子のありかたをどう描いてくるだろうか。

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