【近藤史恵さんの最新小説】妻と離婚後、男性専門の「家事学校」に入学。そこで学んだこととは?『山の上の家事学校』
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ゆうゆう編集部
「お父さんが働いているから生活できるのよ」は真実か
生徒の一人、大学生の猿渡くんのエピソードも印象深い。彼は「父が働いているから、母は専業主婦でいられる。父に感謝しなさい」と祖母に言われて育った。しかし横暴な父に耐えかねて母は家を出る。代わりに家事を担った祖母が病気で倒れると、家は荒れ果てた。父には仕事が、自分には勉強があるから家事はしなくていいと思っていたが、本当にそうだったのか。
「専業主婦がいたとしても、家族は皆家事の当事者だという意識が必要です。妻が突然入院するかもしれません。料理ができないとしても、最低限の栄養と清潔さを保てるだけの家事は知っておかなくちゃ」
ちなみに、山之上家事学校のモデルはアイスランドにあるそうだ。
「『〈主婦〉の学校』というドキュメンタリー映画で知りました。ここは男女共学です。出てくるお料理もとてもおいしそうで目を奪われます」
アイスランドは、世界ジェンダーギャップ指数で15年連続1位の男女平等の国。一方の日本は118位。改善の第一歩は、家事へのリスペクトから始まるのかもしれない。
PROFILE
近藤史恵さん
こんどう・ふみえ●1969年、大阪府生まれ。
93年『凍える島』で鮎川哲也賞を受賞し作家デビュー。2008年『サクリファイス』で大藪春彦賞受賞。
『タルト・タタンの夢』『ときどき旅に出るカフェ』など、食べ物をモチーフにしたコージーミステリーも人気。
※この記事は「ゆうゆう」2024年9月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。
取材・文/神 素子
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