【近藤史恵さんの最新小説】妻と離婚後、男性専門の「家事学校」に入学。そこで学んだこととは?『山の上の家事学校』
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ゆうゆう編集部
家事ができることで知る生活の中にある小さな幸せ
物語の主人公・仲上幸彦は43歳の新聞記者だ。1年前に離婚してから、生活はすさんでいる。敷きっぱなしの布団、出しっぱなしのペットボトルのお茶、2週間放置しているプラゴミの袋、閉め切ったカーテン。心配した妹に「男性だけに家事を教える学校」を紹介され、リフレッシュ休暇を利用して通い始める。
「仲上は柔軟な性格で、人を思いやることもできる優しい男性です。それでも男性社会に染まって、共働きの妻に家事・育児を押しつけることを当然と思ってしまった。男性にはよくあるタイプだと思います」
家事学校で学ぶうちに、仲上の目からウロコがボロボロ落ちていく。面倒だと思った家事の中に、小さな喜びがあることも知る。
「物語の構想を立てるとき、『女性のために家事を始める優しい男性』の話にはしたくなかったし、人にほめられることをゴールにもしたくなかったんです。家事って本来何の報酬もないものだけれど、自分自身にちゃんと見返りがある、そういう物語にしたいと思いました」
生活を自分の力で回すことを覚え、少しずつ人生を取り戻す仲上。一方で、家事を学ぶことが裏目に出てしまう登場人物もいる。社交的で家事の手際もいい白木という男性は、学校では優等生なのに、家事を妻に任せきりなのは変わらない。
「しかも知識は豊富だから、妻の家事に文句を言ってマウントをとりたがる。実は知り合いに似たような男性がいるんです(笑)。でもそれ、自分がやられたらイヤですよね」
だからこそ、家事学校には「聞くレッスン」の授業もある。
「家事の分担の正解は、家庭ごとに違うと思うんです。でも、相手の話をきちんと聞かなくては『わが家の正解』にたどり着くことはできません。話し合った結果、奥さんが家事を全部担うことになったとしても、その家庭にとって『正解』ならそれでいいと思います」
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