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【虎に翼】寅子(伊藤沙莉)3度目の恋 「ん?」となった2箇所とは?寅ちゃんは“恋愛脳”になっていたのか

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田幸和歌子

優未が差し出したのは、優三の遺品であるお守りだった。中にはこれまでずっと気づかずにいた、優三からの手紙が差し込まれていた。
「弱音を吐くことができる人、正しくないトラちゃんも好きでいてくれる人を見つけてください。できれば心から恋して、愛する人を見つけてください」

手紙には、今の寅子の思いにぴったり寄り添うような、優三からの愛情あふれる言葉がしたためられていた。お守りの中を見ていた優未はこの手紙の存在に気づいていて、母の背中を押したわけだ。

恋愛展開としてはよくある展開なのかもしれない。しかしこの突然の花江の来訪、優三の手紙の存在、大人を理解する子に成長した優未という、寅子の背中を押すためだけの存在と展開は、フィクションなのでどう創作しても問題ないはずだが、すべてが寅子のためというか、若干のご都合展開を感じてしまった。

「虎に翼」第95回より(C)NHK

とどめにハプニングが最後の背中を押す。あらためて航一に向き合い、自分は優三を愛し続けると伝える寅子。しかし、雨に濡れた廊下で航一が転倒、手を差し伸べた寅子の思いがここで溢れ出す。
「なんで私の気持ちはなりたい私とどんどんかけ離れていってしまうんでしょうか」

それを受けた航一は、自分は優三の代わりになるつもりはないし、寅子を妻の代わりにするつもりもないと自身の思いを語り始める。
「不真面目でだらしがない愛だとしても、線からはみ出て、フタを外して溝を埋めたい」

運命と立場、それと矛盾する正直な気持ち。とてもロマンチックな展開である。二人が美しく映る演出でもあった。しかし、やはり違和感が残る。航一は驚くぐらい自分の家族の話をしてこなかった。おだやかな笑みをうかべ「なるほど」と口にするばかりで、心の底がつかみにくいキャラだった。急接近でときめく展開にされても、花岡や優三と比べると、航一はどこか保険をかけるように自分を隠すずるさも併せ持つようにとらえられてしまう。加えて社会的地位を得てモチベーションも変質したようにも見える寅子。高瀬たちの結婚も、一転して応援するような立ち位置に変わったことも、まっすぐ正義に燃えて突き進む寅子もずいぶん変わってしまったなと感じずにはいられなかった。

ともあれ互いの気持ちを認め合った寅子と航一は、この先どんな関係をかためていくのか。後半戦のあらたな盛り上がりを期待したいところだ。

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