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【虎に翼】実質プロポーズをしても、なんとなくスルーされる航一(岡田将生)がうっすら傷ついてそうでせつない

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田幸和歌子

一方で猪爪家では、結婚したら家を出るべきだと主張する花江(森田望智)と、同居したいという直明(三山凌輝)がもめていた。その原因は、直明が結婚したい相手がおり、結婚後も同居を続けたいという。その同居の提案に猛反対するのが花江だ。かつての義母のはる(石田ゆり子)との関係の流れを考えると、自分が立場上、“はる化”することを避けようとするのはむべなるかなというところだ。

そもそも花江親子、寅子親子、そして直明が結婚後同居すると、3世帯が一つ屋根の下に同居することになる。「家族なんだから」という直明の言い分も分かるが、家族とはひとつの世帯を単位とするのか、もう少し広い意味でのファミリー感をとらえるのか、今なお猪爪家に出入りする「家族のような」存在の道男(和田庵)の存在も、「家族」という概念はどこまでをとらえるのかという、このドラマが描き続ける、人と人との関係性について新たにじっくり考えてみたくなるテーマだ。

「虎に翼」第99回より(C)NHK

「原爆裁判」という国を相手にする歴史的に重要な裁判と並行させながら、それぞれの家庭の問題という、ある意味小さな問題を並行し、家族というかたちの本質について描いていく、これこそが「虎に翼」という作品の真髄であると思う。

そしてこの週金曜日ラスト、轟がひとりの男性を連れて登場する。
「こちらは遠藤時雄さん。今、俺がお付き合いしているお方だ」

人との関係性についての多様性ともいうべき、現代的視点をうまくリンクさせてくる本作において、当然カミングアウトなんて言葉も存在しない時代に、同性を堂々と愛するということを提示させてきた。家族、結婚、恋愛……さまざまな視点でパートナーシップが描かれていく本作の次週の展開に期待したい。

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