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【虎に翼】星家の面々が昼ドラ的関係になったりしていかないか、要素てんこもりでつい「尺」が気になる21週

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田幸和歌子

「虎に翼」第105回より(C)NHK

結果として寅子と航一は、法律上の夫婦ではなく内縁関係の事実婚を選択した。ここで、航一の提案によって、ふたりが「幸せを求め実行しあう効力を持つ関係」であるという遺言書を作成、これを婚姻届の代わりにしようということになった。

この遺言書が法律上の効果があるわけではないが、これまでもどこかロマンチックな関係であろうとするような描かれ方をしてきた航一の性質、しかも、「寅子さんの夫と名乗りたい。僕の妻ですと紹介したいんです。夫が妻だと名乗り紹介することは、世界中の人に『あなたを愛している』と伝え続けることと同じ」だとまで口にする航一だ。すべて「航一らしい」ということで説明がつくだろうか。こうして、寅子は「貞女は二夫に見えず」を体現することとなった。

前述した5人の「イマジナリー寅子」で少し懐かしさをかきたてられたが、寅子がこうして無事再婚を果たしたことを祝うため、サプライズ演出が待ち受けていた。そこにいたのは、懐かしい法服に身を包んだよね(土居志央梨)や梅子(平岩紙)ら魔女5、轟、玉(羽瀬川なぎ)、さらには先輩の久保田(小林涼子)や中山(安藤輪子)までズラリ。ファンサービス的なシーンでもあるため、玉が法服を着る必要はあるのか? とか、小橋(名村辰)はいないのか? とか、細かなことは置いておくが、久保田先輩は鳥取で弁護士を続け、依然として泣き虫の中山先輩が検察官だというところにほっとする以上に驚くが、多くがちゃんと法の世界で活躍しているところはちょっと嬉しくなった。

「虎に翼」第105回より(C)NHK

「申立人の夫婦それぞれの姓での婚姻関係を認める」
本当は裁判劇仕立てにまでしたかったそうなので、茶番めいたものではあるが、裁判長的な立場の久保田先輩がそう判決を言い渡すことで、寅子と航一の事実婚は認められた。

いよいよ残り週もわずかとなっていくなか、ふたりの新生活はどうなるのか。もともと少し陰の描写が多かった星家の面々が昼ドラ的関係になったりしていかないのか。そして、何年にもおよぶ原爆裁判の行方はどう描かれていくのか。要素がてんこもりの中でつい「尺」を気にしてしまう。尻切れトンボになったり、時代をスキップしてナレーションですませたりすることなく、じっくり原爆裁判を描いてもらいたい。

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