【60代からの友達づき合い】エッセイスト・岸本葉子さん「共通の趣味があればプライベートを知らなくてもOK」
安心のために友達を確保しようとは思わない
50代、60代は、子どもの独立や夫の定年退職などでライフステージが変化するとき。これからの人生を豊かにするのは友達の存在だと考える人もいるだろう。
「私は60代でLINEを交わすようなつき合いが始まりましたが、それは『この先のために友達をつくっておかなければ』と思ったわけではありません。そのときどきに好きなことをしていたら、たまたま共有できる人たちと出会えただけ。だから70代になったら、また別の場で新たな出会いがあるかもしれないと思っているんです。
自分の心をオープンにしておいて、かつお互いのプライバシーを尊重すれば、いくつになっても友達はできると思っています」
今ある人間関係に執着せず、心軽やかにいることが、出会いを呼び込む秘訣なのかもしれない。
「もちろん今は楽しいけれど、この先ダンスから心が離れて別の趣味にハマるかもしれないし、今とは違う悩みごとが出てきて、似たような悩みを抱えている人と出会うかもしれない。状況はどんどん変わっていくことを考えると、今いい関係でいる人が来年、5年後、10年後にベストな友達でいられるかどうかはわかりませんよね」
結局は友達に何を求めるか、なのだと思う。
「60代ともなれば明日何が起きるかわからない年代です。でも、もしものときのために友達を確保しておきたいとは思いません。何か起きたときに話を聞いてくれて、心に寄り添ってくれる友達がいれば安心かもしれません。でも、私にはそれを引き受ける勇気がないし、相手に引き受けさせるのは重たい。期待しすぎると失望するし、関係が悪くなってしまうかもしれません。だから最終的にどうするかの決断は自分でするしかないと思っています」
取材・文/本木頼子 撮影/橋本 哲
※この記事は「ゆうゆう」2024年10月号(主婦の友社)の記事を、WEB掲載のために再編集したものです。
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