「SKYキャッスル」劇的に変わってイケメン度が爆上がりしたのは誰?それぞれがラストに向かって答えを出していく31〜36話【韓国ドラマ】
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藤岡眞澄
ソジンが“母親の欲”にこれほど執着したのはなぜか。それは、ありのままの自分を愛する自信がなかったからなのだと思う。
イェソの同級生母たちの集まりに最後に現れたソジン。自分が食事に手をつけるのを全員が待つのも、成績1位の娘を持つ母だからだ。
イェソをソウル医大に合格させることで、ソジンは“理想の母親”として家族や周囲に認めてもらいたかった。自信を持ちたかった。
でも、親の幸福は子どもの受験結果次第、のはずがない。そして、子どもの人生の幸せは子ども自身のもの。親のものではない。
高校を自主退学したイェソは、自力で合格を目指すと言う。心機一転した娘をソジンが穏やかな笑顔で見守れるのは、ありのままを受け容れてくれる夫が隣にいるから。ソジンは家庭崩壊を免れた。
14年もの間、ソジンをロールモデルとしてきたジニ(オ・ナラ)は、ソジン一家がSKYキャッスルを去ることを寂しがる。だが、勉強嫌いの息子には、無理して塾に行かなくてもいい、と伝える。
常にマイペースだったジニ夫婦。子を思う親の気持ちが過熱し過ぎると、1㎜も子どものためにならないことを肌で気づいたのだろう。「愛情をたっぷり注いでやるのが親の役目」という言葉が、36話まで完走した今まは心に刺さる。
釈放されたウジュは、無実を信じて支えてくれた両親を前に、高校を中退して自分探しの旅に出る、と宣言する。母スイム(イ・テラン)はウジュの唐突な申し出を尊重。『さようならSKYキャッスル』という小説を上梓し、スチャン親子に感謝する。スイムはブレない。
そして、コーデのキム先生と娘ケイとのクライマックスシーン。
キム先生自身も、大学同期に教授ポストを奪われた劣等感や虚しさを、天才と賞賛される娘に育てることで埋めてきた母親。根っこはソジンと同じだ。だが、その娘に障害を負わせてしまったことで、心に悪魔が棲みついた。
逮捕直前、心中しようと作った毒入りカレーをどうしてもケイに食べさせられないキム先生。逮捕後、療養院を世話したスイムに連れられて面会に来たケイを見て、キム先生はあふれる涙をこらえきれない。それが、子どもの真の幸せを願う母親としての涙であることを祈りたい。そして、第2のキム先生が現れないことを願いたい。
韓国の受験戦争を背景に、子どもたちの成長を通して、大人も変化し、成長するという希望を抱かせてくれたこのドラマ。ハッピーエンドに賛否両論が渦巻いたのは、視聴率と関心の高さを裏付ける。
でも、自分が幸せならそれでいい、というメッセージを伝えるには、ハッピーエンドでなければならなかった、と思う。だからこそ、このドラマは第55回百想芸術大賞のテレビ部門4冠に輝いた。
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