結(橋本環奈)がいきなりギャル化したりはしない。ヒロインが少しずつ成長していく様を見守る展開か【おむすび】第1週
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田幸和歌子
第5話で、登場するシーンでいつもスナック菓子を食べていたギャルが栄養不足で倒れてしまうところから、栄養士への道へのつながりがうっすら見えてくる。スロースタートではあるが、いきなり結がギャル化したり、伝説の初代総長が窮地にかつての格好とノリで駆けつけたりといったドタバタ展開にはならない。それはおそらく視聴者の大量脱落を招くだろう。
令和の世へと続く現代劇は多くの視聴者の実体験とリンクするもの。もちろんタイムリープや異世界からの訪問者などを盛り込むわけにもいかない。極端なつかみをせず、「何事もない平和な日々」から少しずつヒロインが変化、成長していく様をまずは見守っていく展開となるだろうか。
“軽さ”と重さのバランスがどう描かれるか楽しみだ
そんななか、このドラマで注目したいのが、1995(平成7年)に発生した阪神・淡路大震災が描かれるであろうというところだ。現在は福岡・糸島市を舞台にするが、父・聖人(北村有起哉)が「9年と2カ月と20日や」と振り返ったり、祖母の佳代(宮崎美子)が、「あげん小さかった結が高校生ね」と感慨深そうにするやりとりから、舞台となる2004年から9年前に起こった出来事、聖人が神戸に帰りたいと思うかと聞かれる場面もあるなど、主人公一家にとって大きな出来事であったことがうかがえる。
これまでの朝ドラでは『あまちゃん』『おかえりモネ』で東日本大震災の衝撃と影が描かれてきた。平成期に発生した複数の大地震は、現代劇版の昭和初期作品における戦争、原爆描写に代わるもので、現在の視聴者にとって平成期にリアルな体験として記憶に刻まれるもの。ヒロイン一家がどのように阪神・淡路大震災を経験したのか。
作品の後半は、1995年1月17日の震災発生からちょうど30年を迎えるタイミングとなる。『監察医朝顔』(フジテレビ)で東日本大震災を取り扱った根本ノンジさんの手による作品なだけに、どのような描かれ方をするのか期待するとともに、第1週に漂う軽さと震災という重いテーマのバランスをどのようにとって見せてくれるのか楽しみなところだ。
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