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結(橋本環奈)がいきなりギャル化したりはしない。ヒロインが少しずつ成長していく様を見守る展開か【おむすび】第1週

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田幸和歌子

結(橋本環奈)がいきなりギャル化したりはしない。ヒロインが少しずつ成長していく様を見守る展開か【おむすび】第1週

「おむすび」第1回より(C)NHK

1日の楽しみは、朝ドラから! 数々のドラマコラム執筆を手がけている、エンタメライター田幸和歌子さんに、NHK連続テレビ小説、通称朝ドラの楽しみ方を毎週、語っていただきます。平成青春グラフィティ「おむすび」で、より深く、朝ドラの世界へ!
※ネタバレにご注意ください

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現代劇朝ドラの賛否は分かれることが多いが

橋本環奈主演のNHK連続テレビ小説(通称「朝ドラ」)『おむすび』の放送がスタートした。

公式のキャッチフレーズは“平成青春グラフィティ”。「平成元年生まれのヒロインが、栄養士として、人の心と未来を結んでいく」という。朝ドラ的にはいわゆる〝現代劇〟にあたるが、『半分、青い。』『おかえりモネ』『ちむどんどん』『舞いあがれ!』……近年の現代劇朝ドラは、朝ドラ視聴者の賛否が分かれることが多い。はたして『おむすび』はどうなのだろうか。

『おむすび』は、前記のキャッチフレーズに掲げられるように、「平成」という時代そのものに焦点があてられる作品となると思われる。令和も6年となる今、「平成」も“歴史“として語られるターンに入ったということだ。

そのうえで、記号・象徴として用いられたのが「ギャル」だ。

アムラー、厚底、マルキュー、日焼け、プリクラ……平成初期のギャルブームを経て、作中で描かれるヒロインたちは平成中期の第2世代、第3世代のようなポジションなのだろうが、カルチャー面への影響も含めて平成を表すときの大きなキーワードであろうし、令和の今も世代交代しながらギャルタレントが一定の人気と需要があることからも、世間の注目度も高い。

ギャル文化のカリカチュアは、分かりやすさにつながる。ヒロイン・米田結がギャルたちに対峙してとまどう様などで、結がどういう立ち位置なのか分かるし、仲里依紗演じる姉の歩が、実はそれこそおそらく第1世代の伝説のギャルで、地元ギャルサー(ギャルサークル)「博多ギャル連合(ハギャレン)」の初代総代、そしてその妹である結が新たな総代としてスカウトされるというわかりやすさ。

「おむすび」第4回より(C)NHK

もちろん「おむすび」が半年通してギャルサーライフを描いていくわけでなく、序盤のつかみ、平成中期ワールドへの誘いとしてのギャル文化ではあるが、今のところはその結のとまどいぐらいしか大きな動きはなく、スロースタート気味の第1週だったように感じられる。

第5話でうっすら見える、栄養士への道

朝ドラの1週目は、たとえば子役の名演技などによって、いきなりつかみからガツンとくるものも多い。『おしん』の小林綾子や『ふたりっ子』のマナカナなどが分かりやすい例だろうか。『ちりとてちん』の落語、『カーネーション』のだんじりや“ドレム(ドレス)”といった、核となるものへの出会いのインパクトがとても印象的な作品も数多い。

『おむすび』は、そういう意味では「つかみ」がゆるやかな印象を受ける。ヒロイン結自身が、「何事もない平和な日々こそ一番」をモットーにするような人物だ。だからこそ、「アゲー!」とパッと見はちゃめちゃに見えるギャルサーに勧誘される物語にもなりかねないが、冒頭に記した通り、本作はヒロインが栄養士として、食と栄養を通して人と人をむすんでいく作品だ。

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