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81歳・現役女医。男女差別が当たり前だった戦後の生活…乗り越えた「鉄のメンタル」

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天野惠子

80歳を超えてなお現役の医師を続ける天野惠子さん。女性外来で週2回、診療に当たる天野さんが話題です。今すぐマネしたくなる、今知っておきたい健康の話が満載の著書『81歳、現役女医の転ばぬ先の知恵』から、一部抜粋して、4回に分けてご紹介します。第1回は、自分の中に「軸」を持つ生き方について。

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自分の中に軸を持ち、周りに左右されない生き方

人間関係が思いどおりにならないと、クヨクヨ悩んだり、落ち込んだり、イライラしたりしがちです。

人間は社会的な生き物ですから、人間関係からくるストレスは避けられません。

世の中には、実にいろいろな人がいて、何気ない一言で傷つけられたり、セクハラやパワハラ、モラハラなどのハラスメントで疲弊したりしてしまうこともあるでしょう。でも、他人に振り回されて、自分自身がストレスフルな状態になるなんて、とてももったいないことですよね。

私には根底に「人にはいろいろなタイプがいる」「自分ではどうにもならないことがある」「それに振り回され、思い悩んでも仕方がない」という思いがあり、「周りに流されない強い軸を持つ」ことを心がけて生きてきたような気がします。

このことを、私は小学生のときに悟りました。

私は戦時中の1942年生まれ。林野庁(当時は帝室林野局)に勤める国家公務員の父を持ち、中学2年で父の転任に伴って東京に出てくるまでは、岐阜、長野、秋田と地方で過ごしました。両親ともに病弱で、父が結核(後に誤診と判明)を患っていたことでクラスの男子からからかわれたり、病気の母が保護者会に出席できなかったとき、先生から嫌みをいわれたりしたこともありました。

また、当時は男女差別が当たり前でした。小学校の卒業式のとき、総代を務めるのは首席の子と決まっていましたが、いちばん優秀な女子児童を差し置いて、結局はそれほど成績のパッとしないPTA会長の息子が総代に選ばれました。

戦後間もないころで、周りには両親のいない子も少なくありませんでした。

私の家の裏に、おばあちゃんと2人暮らしの女の子が住んでいましたが、あるときおばあちゃんが亡くなって、その子は突然どこかの親戚にもらわれていってしまいました。

このことは、当時7歳だった私に大きな衝撃を与えました。理不尽なことに憤り、 力のない弱い人にはやさしくありたいと強く思うようになった出来事でした。

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