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学力最底辺の小学校から全国トップクラスを輩出した奇跡の実話『型破りな教室』【中野翠のCINEMAコラム】

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中野翠

ユニークな視点と粋な文章でまとめる名コラムニスト・中野翠さんが、おすすめ映画について語ります。今回はメキシコ映画『型破りな教室』と、ジョージア映画『ブラックバード、ブラックベリー、私は私。』です。

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日本の小・中学校の教員のかたがたにも見ていただきたい

このメキシコ映画『型破りな教室』を見ていて、しきりに北野武(ビートたけし)のお母さんが言ったという言葉が思い出された。その言葉とは、「貧乏は教育で絶つ」––––。

貧しさから抜け出すには、まず、何よりもキチンとした教育を受けること。それ無しでは何も始まらない––––というのだ。確かにその通り。エリートを目ざすというわけでは無い。最低限であっても「読み書き」や「計算」を身につけなければ、一生、貧乏生活から抜け出せないのだ––––。

さて。この映画の舞台はアメリカとの国境近くの村の小学校。犯罪の多い地域で、学力は最低……。2011年、そこに若い男の新任教師・フアレスが赴任するのだが……生徒たちは、まったく授業に集中しない。生徒の中にはズル休みしている子もいる。他の教員自体も意欲を失っている……。

驚き呆れたフアレスは、思い切ったやりかたで、生徒たちに「学ぶこと」の面白さ楽しさを感じさせる授業に切り替える。

知らなかったことを知ること。それは楽しいことであり、喜びでもある。本来、「勉強」というのは、そういうものだったのではないか?と、今さらながら気づかされる。誰にでも……子どもでも「知的好奇心」は、あるのだった。

いったん興味を持つと、子どもたちは「もっと、もっと知りたい」と思うようになる。クラス全体の成績は急上昇。そのうちの10人は全国のトップクラスに食い込んだ……というサクセス・ストーリー。めでたし、めでたし。日本の小・中学校の教員のかたがた、この映画、ぜひ見てほしい。

『型破りな教室』

監督・脚本/クリストファー・ザラ 
出演/エウヘニオ・デルベス、ダニエル・ハダッド、ジェニファー・トレホ 他 
ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館 他 全国順次公開中
(メキシコ 配給/アット エンタテインメント)

©Pantelion 2.0, LLC

ジョージア映画『ブラックバード、ブラックベリー、私は私。』もおすすめ

さて。1月3日より公開のジョージア映画『ブラックバード、ブラックベリー、私は私。』もオススメしたい。

ヒロインは48歳にして独身。家族もみな亡くなってしまった。ひとりで日用品店を営んでいるのだが、ある日、ガケから落ちてしまったのをキッカケに、人生初のセックスを体験! 遅まきながらの青春?!––––という、ほほえましい話です。

※この記事は「ゆうゆう」2025年2月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のため再編集しています。

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