50代半ばでゼロから農業を始めた元専業主婦。その仕事選びの極意がすご過ぎた!【50代の仕事始め#2後編】
これからの仕事について、どうしようかと考えたことがありませんか? 50代で新しい仕事に踏み出す一歩は、勇気がいることかもしれません。やりたい仕事の見つけ方などヒントがいっぱいの「50代の仕事はじめ」。今回お話をうかがったのは、ごくふつうの専業主婦からパートに出て、ある資格を取得。そして農業に挑戦し、今はまたカフェのお手伝いと、新しいことに挑戦し続ける斉藤享子さんです。2回に分けてご紹介する後半は、今のお仕事につながる過去についてです。
▼前編はこちら▼
普通のパート主婦がなぜ!?50代後半で野菜の委託販売を始めるまでの道のりとは?【50代の仕事始め#2前編】
斉藤享子さん(58歳)
農作物委託販売業、アクセサリーオーダー制作販売、カフェアルバイト。短大卒業後、証券会社で3年勤務。92年に結婚してから、2008年に学習塾でのパートを開始するまで専業主婦。グルーデコ認定講師の資格を取り、2018年にパートを退職。アクセサリーの制作販売を始める。コロナ禍の真っ只中に農家の手伝いを始め、徐々に販売委託業もスタート。その傍ら、友人のカフェで週3日勤務。家族はご主人と、独立したお嬢さんと息子さん。趣味は音楽鑑賞、ライブに行くこと、ご主人との温泉旅行など。
育児の中にも見えていた将来の仕事
最近では共働きが当たり前になりつつありますが、ゆうゆう世代が結婚した90年代あたりまでは、女性は結婚すると家庭に入る人が多い時代でしたね。
斉藤さんもその一人。92年に結婚してから下のお子さんが中学校に入る2008年まで、16年間は専業主婦でした。
「子どもといっしょになって遊んだり勉強したり、料理が好きだったので手作りのおやつを食べさせたり、お弁当も一生懸命作りました。そんな育児期間は楽しくて仕方なかったです」
と振り返る斉藤さん。
当時、家族のために健康に良いと思う食材を各地から集めてはおいしいごはんを作って食べさせていたことは、いま農産物の販売を手伝ったり、カフェで調理の下準備をするような仕事に生きています。
女性が育児等で一旦離職すると、子どもの手がかからなくなったころにはなかなかマッチする仕事がないという現実もありますが、斉藤さんのお話を伺っていると、専業主婦時代に目の前にあること、好きなことに一生懸命に取り組んできた人には、その後に何か世の中の役に立つようなスキルが宿るものなのだ、と思わされるのです。
社会とのつながりは一歩踏み出す勇気から
そして、専業主婦時代のあと、そろそろ社会とつながりたいと、下のお子さんの中学校入学を機に週3日のパートを始めた斉藤さん。
「自分の子どもが通っていた塾で、受付の仕事を始めました。実に16年ぶりの社会復帰に緊張しましたが、やはり社会と繋がりたいという気持ちが強かったです。環境も良くて、気づけば10年も勤務していました」
我が子が通った経験が活かせ、居心地も良い職場でしたが、「グルーデコ」との出会いが退職のきっかけとなります。
グルーデコは、スワロフスキーなどのパーツをグルー(ある種の糊)で貼り付けてゴージャスなアクセサリーに仕上げるもの。
「ママ友がつけていたアクセサリーがキラキラときれいで、どこで買ったの?と聞いたら、ハンドメイドだと。それを聞いて自分でもやってみたくて仕方がなくて……」
と教室に通い始め、最終的には講師の資格まで取得し、クチコミで作品を販売するまでに。
「パートを辞めてアクセサリーに専念しようと思ったのが2018年。買いたいと言ってくれる方も増えて、一時はインスタグラムにも作品をアップしていました。それが、コロナが始まって外出の機会が減ったので、アクセサリーの需要も減ってきてしまったんです」
せっかく進み始めたアクセサリー制作の道、でもそんなときに出会ったのが農業でした。
「いつも何かを選択するときは、見も心も、なるべく自然であるように、自分が楽しいと感じるほうへ直感を信じて進んできた」という斉藤さんですが、このときはアクセサリーのことは一旦横に置き、野菜づくりに夢中になったそうです。