遊びじゃない!認知症母を抱えた主婦の奮闘とワクチン予約エピソード【認知症母との介護生活#30】
60代主婦の日常を、4コママンガとエッセイにしてブログで配信をしている、ぱいなっぷりんさん。その中から、「認知症母との介護生活」を順に紹介していきます。
※2020年頃のコロナ禍を描いたものです。
▼「認知症母との介護生活」マンガ 1話から読む▼
>>想像の遥か上を行く発想をする母に、考えたことは?【認知症母との介護生活#1】ワクチンの予約が大変すぎた
コロナワクチンの
高齢者 優先接種
私の住んでいる 自治体では
今朝から
先ずは 75歳以上のひとが
先行接種するための予約が
始まった
マンガに描いたように
私は
母の予約を
1日でも 早く取ろう
と 前夜から 何度も
シミュレーションを繰り返し
準備万端で 朝を迎えた
だって
母は 今 90歳
コロナに罹ったら
重症化する確率は 極めて高い
しかも 最近は
医療が逼迫している
運が悪ければ
トリアージで 切り捨てられることが
あるかもしれない
もし そんなことになった時
もし 私が あの時
早く ワクチンを
打たせてあげられてたら
そんな後悔は したくない
まあ つまり 半分は
自分の為ってことか
でも
現実は キビシかった
もう 玉砕に次ぐ 玉砕
全く 予約サイトに
つながらない
それでも
8時半の受付開始から
ずっと パソコンの前で
繰り返し 繰り返し
アクセスを試みていた
数撃ちゃ 当たる
とばかりに
ひたすら マウスを動かし続けた
だんだん
肩が 重くなってきた
腰も 痛くなってきた
そして いよいよ
目の焦点が 合わなくなってきた
ということで
自分へのご褒美も 兼ねて
蒸気の出るアイマスクをつけて
ベッドに横になった
アロマの香りと 蒸気で
心地よくなり始めた
その 直後だった
母が 私の部屋に
入ってきたのは
そして 開口一番
あ~
下に降りてこない と思ったら
寝てたの~
私には それが
非難がましい言い方に 聞こえて
寝てないよ
今まで ずっとパソコンで
おかーさんの為に
ワクチンの予約してたから
目が疲れたんだよ
と
おかーさんの為
という言葉を ことさらに強調して
言ったのだけど
その言葉は
頭に入らなかったのか
母は さらっとスルーし
言った
もう 12時よ
起きて
お昼ごはんをつくりましょう
私 お腹がペコペコだわ
さすが 認知症
自分の興味外のことは
認知の外に ポ〜ンと追いだし
世界の中心で ひたすらに空腹を叫ぶ
確かに お昼ごはんは
つくらないといけない
そうしないと 母は
壊れたレコードのように
騒ぎ続けるだろう
でも
アイマスクは
やっと温かくなったばかりだ
これから
15分のリラックスタイムが
始まるところだった
私は
朝からの いろいろな
うまく行かないこと全部に
イラつきながら
ランチをつくるために
渋々 キッチンに下りたのだった
でも
バタバタと動きながら
香ばしい お餅の焼ける匂いや
美味しい お味噌汁の香りを
かいでいるうちに
少し 心が満たされたのかな
気持ちが
落ち着いてきて
母と一緒に
食べ慣れた味の ご飯を食べながら
ワイドショーを観て
笑ったり ツッこんだりしていたら
ケセラセラな気分に なってきた
考えてみれば
誰かが早く ワクチンを打てば
誰かが 遅くなるわけで
その 誰か は皆
リスクの高い 高齢者で
今回
若い人たちより 優先して
打たせてもらってる人たちで
その中でも
先んじて 早く打ちたい
なんて
それは 欲
しかも
肝心の 本人は
ワクチンのことなんて 認知の外で
眼の前のお餅に 全集中してる
その様子も
なんだか おかしくて
そうだ
この顛末を
ブログに 描いちゃおう
きっと 笑えるマンガになるよ
そう 思って
昼食後
一気に
このマンガを 描いたのだった
あ もちろん
パソコンを 脇において
時々 ワクチンサイトは
チェックしてます
相変わらず
空振りしてるけど
▼次回はこちら▼
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