【認知症母との介護生活#28】ドアチェーン、かけないで〜!外出時の“介護あるある”に今日も振り回される
60代主婦の日常を、4コママンガとエッセイにしてブログで配信をしている、ぱいなっぷりんさん。その中から、「認知症母との介護生活」を順に紹介していきます。
※今回は、2021年2月のコロナ禍で描いたエッセイマンガです。
▼「認知症母との介護生活」マンガ 1話から読む▼
>>想像の遥か上を行く発想をする母に、考えたことは?【認知症母との介護生活#1】コロナ禍の買い物事情
母は認知症
何を考え 何をやらかすか
読みきれない
その時
時間は まだ 夜8時半過ぎ
夜ふかし気味の 母にしたら
まだまだ
テレビを楽しむ時間だった
今観ている バラエティは
10時までやっている
大丈夫
このまま
テレビを観ながら いつものように
うたた寝でもするだろう
そう 思って
母の記憶に 留まる
な~んてことは
微塵も期待していなかったけど
私は 一応
母に 外出する旨を伝えて
買い物に出たのだった
夜のスーパーは 空いている
人とすれ違うことも 殆どないし
レジで並ぶことも ない
加えて
9時近くになると
お惣菜の割引が 始まる
翌朝でも食べられそうなものを
選んで 買えば
かなり おトクだ
その日も
本屋で
おもしろそうな文庫本を 買って
スーパーで
鶏レバーの赤ワイン煮を
3割引で 手に入れて
ついでに
缶チューハイも 2缶 買い
帰り
空を見上げれば
スマイリーフェイスの口のような
お月さま
キヨシローの歌に
そういうの あったなあ
な~んて その歌を口ずさみながら
ご機嫌さんで 家に帰ってきた
ん ・ だ ・ が !!
認知症の人の発想は
独善的だ
母は 夕食後
気づいたら
私が 部屋にいないので
先程 私が言ったことなど
全然 記憶になく
ああ 娘は 部屋に行ったのだな
と思い込み
では 自分も部屋に行こう
と
リビングを出て 玄関脇を通ったら
ドアチェーンがしてなかったので
戸締まりした
ということらしい
寒い 冬の夜
いくら インターホンを鳴らしても
開くことのない 玄関の前で
私は
呆然としていた
仰ぎ見る月は もはや
魔女の口にしか見えず
3年ほど前の 悪夢を
思い出していた
あれは
やっぱり 寒い
冬の夜だった
近所に住む 友人のところで
宅飲み会があり
私は 嬉々として
出かけたのだった
そして 早々に帰る予定が
深夜12時を回り(!)
でも その頃は まだ
母の認知症も
今ほどには 進んではおらず
鍵は持っていくけど
チェーンは閉めないでね
と言えば 覚えておいてくれる
…はずだった
のに
見事 期待は裏切られ
締め出しを食らった 私は
汚れた大皿や サラダボウルや
トングが入った紙袋を抱え
明け方まで
駅前のマックに 留まる羽目になった
深夜のマックで
酔っ払った中年女が
目を釣り上げて
ケータイで 何処やらに
(この場合 自分の家にだけど)
執拗に 電話し続ける
その様子は
傍目には 恐らく
ダメンズに 人生を翻弄され
それでも 男にすがり
自ら 不幸という名の海にダイブし
そのまま 人生の晩年に至った 女
に見えたのではないか
今回も
目深に 帽子をかぶり
マスクで 顔を半分隠し
玄関の前で 執拗に
インターホンを鳴らす 女の姿は
かなり アヤシイ
通り掛かるひとは
訝しげに こちらを見る
その時 もちろん
以前 締め出された時のように
マックに行って 時間をつぶす
という選択肢も 頭をかすめた
でも
運の悪いことに
その時 私は ケータイを
家に 置いてきていた
このまま ここで
インターホンを 鳴らし続けたら
もしかしたら いつか
母が 気付くかもしれない
でも マックに行ったら
朝まで そこに留まるしかない
ど う す る べ き か
この夜
私が鳴らしまくってた インターホンは
補聴器を外していた 母には
やはり
聞こえなかったらしい
でも 幸いなことに
母は
ベッドには 入っていたけど
まだ 寝てはいなかった
そして
水が飲みたくなって
1階に降り
玄関の脇を 通った時
また 戸締まりが気になり
ドアに近づき
その足音に気づいた私が
ドアを 思い切り 叩いて
ようやく 母に気付いてもらい
チェーンを 外してもらったのだった
結局
30分くらいの
短いロックアウトだった
でも あの時間は
私には
とてつもなく 長い時間に
感じられた
だって
先が 全然見えなかったから
少しでも 先が見えてたら
希望を持つことができてたら
同じ状況でも
感じ方は
全然 違ったものになっていた
と思うけど
私の頭は
悪い想像だけで
一杯になってしまってたから
ああ この気持ちって
多分
同じだ
コロナ禍や
親の介護にある時と
あたたかい 部屋で
買ってきた缶チューハイを
飲みながら
そんなことに 気づいた
夜
▼次回はこちら▼
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