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破天荒な母に振り回される四姉妹の看取りとは?尾崎英子さんの初エッセイ『母の旅立ち』より

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ゆうゆうtime編集部

「死なないから」と言う母——現実を受け入れられない娘たち

「大丈夫よ。わたし、死なないから」
母はそう言い放ちます。死を目前にしても、どこか現実感のない言葉。虚勢なのか、本気なのか——その真意は最後までわからずじまい。

「死ぬんやで!」
次女・ようこさんは感情的に母に訴えます。医師でありつつも、娘としての感情が溢れ出してしまうのです。

ですが、なんとようこさんは僧侶でもあり、「命ある者は致死率100%。生きることの延長線上に死がある。ただそれだけ」という死生観も持っていました。そんなようこさんは言います。

「「残された時間は、一カ月あるかないか」

「そんなに短いの? 一カ月しかないの?」

「いや、もっと短くなるかもな」

突然のことで、あまりにも現実味のないことでした。

母の過去——シリウス星から来た女

「母は常日頃から、自分はシリウスという星にいたと言っていた」
その言葉は冗談とも本気ともつかないものでしたが、破天荒な母の人生観を象徴しているよう。

「シリウス星人には金銭感覚なさそうやもんな。知らんけど」
娘たちは母の奇抜な言動に呆れながらも、どこか愛おしさも感じてしまうのでした。

▼後編では「看取りのプロ」である次女の対応、をお届け▼

『母の旅立ち』

尾崎英子 (著)
CEメディアハウス(刊)

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