還暦を迎えた【吉本ばななさん】60代を楽しく生きるための5つのキーワードが目からウロコだった…!!

PROFILE
吉本ばななさん　

よしもと・ばなな●1964年東京生まれ。
日本大学藝術学部文芸学科卒業。
87年『キッチン』で海燕新人文学賞を受賞しデビュー。
88年『ムーンライト・シャドウ』で泉鏡花文学賞、89年『キッチン』『うたかた／サンクチュアリ』で芸術選奨文部大臣新人賞、同年『TUGUMI』で山本周五郎賞、95年『アムリタ』で紫式部文学賞、2000年『不倫と南米』でドゥマゴ文学賞、22年『ミトンとふびん』で谷崎潤一郎賞を受賞。
著作は30カ国以上で翻訳出版され海外での受賞も多数。
近著に『下町サイキック』『ヨシモトオノ』など。
noteにて配信中のメルマガ「どくだみちゃんとふしばな」をまとめた文庫本も発売中。

ばななさん、60代になって変化したことは？ 楽しく生きるためのキーワードを教えてください

キーワード①　心がけ

心がけないことが、心がけ。「こうするぞ！」と思うといい方向には進まないから

よく「心がけていることは？」と聞かれるのですが、あえて何かを心がけないようにしています。振り返ると、「やるぞ！」と気合を入れたり、「こうしよう」と目標を立てたりしてよかったためしがない。できるだけフラットでいたほうが、受け取れるものが増えるように思うんです。

私は美術展が好きなのですが、若い頃は予定をびっしり入れて、「初日と最終日は必ず行くぞ」とか「勉強してから向かおう」とか考えていました。でも今は、すいている平日に訪れて、ゆったりとその空間に身を投じるんです。そのほうが「受け取れたな」って感じる気がします。

キーワード②　人と会う

今日会えた人とまた会えるなんて思っちゃいけない。人は死んでいくから

この年齢になると、年上の人だけでなく同年代の友人も亡くなってしまうので、「今日会えた人とまた会える」って思っちゃいけないと意識しています。といっても「この人とはこれが最後」なんて思うと、楽しい時間にならないので（笑）、心のすみっこにそんな気持ちを置いておくことが大事なのだと思うのです。

誰に会うかは、そのときの気持ちで決めています。私が会う人は基本的に好きな人ばかりなのだけれど、その日によって「今日はこの人に会いたい」「この人は声が大きくてつらいかも」はあるもの。その気持ちには素直でありたいと思っています。