【認知症母との介護生活#42】突破できた！親子で乗り越えた「駐車場問題」の解決ストーリー

▼「認知症母との介護生活」マンガ　1話から読む▼

母のワクチン接種のときのこと

少し　古いけど

母の　３回目のワクチンの接種券が
来た時の話です

接種券を　手に
私は　早速
自治体のサイトを　チェックした

その　数日前

母の通うデイホームと
スタッフ同士が交流がある
同じグループが運営している
デイホームで
コロナの感染者が　出ていたし

複数の友人から

家族が罹患した

という話を
耳にもしていたので

母には　１日でも早く
接種させたかった

そのサイトによると

私の住む自治体では
（その頃は）
３回目は　２回目の時より
接種会場の数が　少なく

前回　利用した
駐車場付きの会場は
まだ　開設されていなかった

私は
自治体に　電話した

駐車スペースのある　会場は
ありますか

すると
会場のことは
ワクチンサイトのナビダイヤルに
電話をするように　言われた

この　ナビダイヤル
２０秒　１０円　お金が　かかるやつ

私は　一抹の抵抗を感じつつ
電話をした
（←ケチだから)

この時　応対したオペレーターが
今ひとつ　要領を得ない

親切に　色々
調べてくれるんだけど
その間にも　チャリンチャリン　と
お金が落ちる音がする（←気のせい）

で　結局
１５分くらい　電話で話したけれど
何も　わからなかった

取り敢えず　私は
最寄りの会場を　申し込んだ

タクシーで　行けばいいや
と思った

でも…

せっかく　車があるんだし
できれば　やっぱり
車で行きたい
(←ケチだから)

接種　前日

私は
お散歩ついでに
会場周辺の　時間貸し駐車場の
下見に行った

一番近い駐車場は
母の足だと　５分くらいの距離だった

それくらいなら
ギリギリ　歩けるかも

でも　その時
その駐車場は　満車だった

明日の　予約時間の時
そこに停められる保証は　ない

もっとも
足を延ばせば
停めるところは　他にもある

ただ　その場合
一度　母を会場入り口で
降ろして

私が車を止めに行く　間
ひとりで　待っていてもらう

…なんてことが　できるのか
認知症母に

やっぱり
タクシーかなあ

タクシーのアプリも　あるようだけど
使ったこと　ないしな

なんか　面倒くさいな

私は
あーでもない　こーでもない
と　考えを巡らせながら
会場周辺を　ぐるぐる廻り

最後に　会場に戻って
その入口から
何気に　中を覗いてみた

建物の奥に
駐車スペースが
１０台分ほど　あった

すべて
駐禁のコーンが　置いてある

これは
ワクチン接種以外の
このビルを　利用するひとのための
駐車場なんだろうな

と思った

でも…

全然　停まってないよね

ここで
私の　オバサンの本能（？）が
むくむくと　目覚めてきた

入り口にいた係員に
声をかけた

あの…うちの母が
明日　ここで　ワクチンの予約を
入れているんですけど
駐車させていただくことは
可能ですか

すると　係員は

障がい者と
その付き添いのひとなら
可能です

と答えた

障がい

という言葉に
一瞬たじろぐ　私

でも　私は　オバサン

障がい　というわけでは
ないんですけど
母は９１歳で
膝が悪くて　長くは歩けないんです

加えて　認知症なんです

あ　だから　私が
この入り口で　母を下ろしてから
近くの駐車場に　車を置きに行く間
母を見ていてくださる　というのでも
ありがたいんですが

すると　係員から
意外なくらい　すんなりと

ああ　そういうことなら
明日　入り口で
一言　声をかけてくれれば
駐車できますよ

との　お返事が

オバサン　勝利！

そして　その夜

マンガに描いたようなことを
母に伝えたのだった

母は　最近
言葉への反応や　理解が
遅くなっているのに
その時に限っては　間髪入れず

わかったわ

と　元気＆明瞭な返事が
返ってきた

今日は　ずいぶん
頭がスッキリしているな

と思ったら
その後

年寄り風に　振る舞って
歩けないフリして
認知症のフリすれば　いいんでしょ

と　言葉を続けた

イヤイヤイヤ……

フリする必要なんて
状況的にも　モラル的にも
全然　ないから！

と　速攻　ツッコみたくなった

けど
そう言ったところで

自分が
年寄りである　という自覚がなく

どこまでも歩ける　と信じていて

認知症なんて　他人事

に感じている　母には
おそらく　何も伝わらない

私は
モヤモヤした気持ちと一緒に
その言葉を　飲み込んだ

その　翌日

私たちは
無事　車で　会場まで行って
駐車できただけでなく

車椅子まで　貸してもらい

その後も　スタッフの方々から
至れり尽くせり

気持ちよく
ワクチン接種を　終了した

よかった　よかった

ところで

その後
どんなに　ネットで調べても

この会場に
障害者用の駐車スペースがある

とは　載っていなかった

載せなかったのは
会場側の
いろいろ考えての　判断だった
とは　思う

でも　そのために
車で行くことを諦めたひとは
一定数　いるはず

困った時
ダメもとのチャレンジって
大切だよね

私は　つくづく感じた

オバサンの突破力
半端ないぞ

と自画自賛も　した

そして　何より

会場で　周りの人たちが
差し伸べてくれた　手が
あたたかくて

本当に　うれしかった

ありがとう

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