【認知症母との介護生活#44】「ひとりで家にいても大丈夫よ」という母をショートステイに導くには?
60代主婦の日常を、4コママンガとエッセイにしてブログで配信をしている、ぱいなっぷりんさん。その中から、「認知症母との介護生活」を順に紹介していきます。
▼「認知症母との介護生活」マンガ 1話から読む▼
>>想像の遥か上を行く発想をする母に、考えたことは?【認知症母との介護生活#1】3年前のことは覚えているのに…
先日
マンボウが明けて
感染者数も 減少傾向
母のショートステイの予約も
無事 取れたので
ゴールデンウィークが始まるまでの
間隙を 縫い
友人Aと
山中湖への旅行を 計画した
で
問題は
決行までの 日々だった
あんまり前から 母に言っても
忘れるので
10日ほど 前
私 旅行に行くから
お母さん
ショートステイに行ってね
と 伝えた
その時のリアクションは
マンガに描いたように
知り合いがいないから つまらない
だの
やることがないから 退屈だ
だの と 超後ろ向き
挙げ句
一人で留守番するから 大丈夫
って 全然 大丈夫じゃないし
そこまで 拒否られると
こちらも
母に かわいそうなことをしている気に
なってくる
旅行になんて
別に 行かなくてもいい気に
なってくる
私が我慢すればいい気に
なってくる
でも
これは もう
介護の 永遠のテーマである
と思うんだけど
介護する側の 一方的な我慢で
問題解決するのって
絶対 ダメだと思うんだよね
介護する側の心に 余裕がないと
いい介護なんて できないし
しかも 母は
私以上の 旅行好き
若い頃には
日本経済の バブルの波に乗って
日本中 世界中を
旅行しまくっていたからね
そして
その話題が 出るたびに
ああ いい人生だったわ
と
ひとり 満足気に
つぶやいていたからね
だから 私が
ちょっとくらい
近場の旅行に 行ったって…
と 軽く 自己弁護したところで
本題
私は
眉間に 皺を寄せ
ふてくされる母を 説得し
リビングのカレンダーに
母自身の字で
そのことを メモらせて
証拠を残した
(後から「私 聞いてない」
と言われないように)
やれやれ
これで 第一関門 突破
と思っている時
母が
意外なことを 言った
もしかして
ショートステイするところって
前に モニターで泊まったところ?
大正解だった
昨日のことも
いや 1分前のことも
忘れる母が
そんな 3年前のことを
憶えていたなんて
それは
ショートステイを
初めて 利用する時のことだった
嫌がる母に
少しでも 前向きな気持ちで
利用してほしい と思い
ケアマネさんたちと 相談して
施設に
モニターとして 泊まって
宿泊の感想や アドバイスを
してほしい
そんな ウソの説明を
したのだった
少しの後ろめたさと 共に
モニター
という言葉は 効果絶大だった
母のプライドを くすぐり
自己肯定感を 高めた
結果
ごきげんさんで お泊りしてきた
その後
何度かお泊りした時のことは
きれいさっぱり
記憶から抜け落ちたけど
この時のことだけは
記憶に留まった
人の役に立ったことが
よっぽど うれしかったんだね
母の病気は
確実に 進行している
だけど
今なら まだ
誰かの 役にたったり
誰かに 喜んでもらえることが
少しは あるから
母には
そんな体験を して
ハッピーな記憶を
残してもらいたい
例えば
母が ショートステイに
前向きに 行ってくれると
私
すご~く うれしいよ
そこんとこ
あんまり わかって
くれてないようだけど
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