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【認知症母との介護生活#45】母がよく口ずさむ「満州娘」の鼻唄から知る、意外と深い!時代のメッセージ

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ぱいなっぷりん

60代主婦の日常を、4コママンガとエッセイにしてブログで配信をしている、ぱいなっぷりんさん。その中から、「認知症母との介護生活」を順に紹介していきます。

▼「認知症母との介護生活」マンガ 1話から読む▼

>>想像の遥か上を行く発想をする母に、考えたことは?【認知症母との介護生活#1】

令和ならNG!?母がよく口ずさむ歌

母は
よく 鼻唄を歌う

最近の マイブームは
♪満州娘♪

といっても


このブログを読んでくださっている
ほとんどの方は
この歌を ご存知ない
と思うので

歌詞を 意訳すると


私は 満州娘 16歳

春になったら
王(ワン)さん という
隣村の人と 結婚するの

母と 晴れ着を縫いながら
早く 春が来て
花の馬車に 乗って
結婚する日のことを
うれし恥ずかし
夢見ている

ざっと こんな感じ

母の歌う この歌を聴きながら

私は
本や 映画で 間接的に体験した
当時の満州を 思い浮かべ

この娘の その後に
思いを馳せる

この満州娘は
結婚する日を 夢見て
待つけれど

恐らく
晴れ着や 馬車で
華やかに演出された
その結婚式当日が

彼女にとって
幸せの ピーク

その後は ひたすら
苦労と 忍耐で
塗り固められた 日々が
続くんだろう

…な~んてね

この歌が 世に出たのは
1938年

日本に まだ
家制度があって
自由な結婚が 制限されていた
時代

当時の結婚は

本人の気持ちとか
愛とか
相性より
家の存続が 第一義だったので

結婚式で
初めて 相手の顔を見た

とか

若くして 妻が死んだら
その妹を 後妻に娶る

といった
人権を無視したような エピソードが
あちこちに

社会全体が
今より ずっと 貧しい中で

個人の意志や 権利
などといった 発想自体
ほとんど なく

女性が 食べていくための
手段が
結婚すること
だったとしたら

ただただロマンチックに 描かれる
この歌の世界が
内包しているものって

あまりに 過酷

現代 というフィルターを
通してみると
そんなふうにしか 見えない

だけど

恐らく

そんな時代でも
人々は その中で
たくましく 人生を謳歌し

当時だったら
若い人は 多分

芝居小屋や 映画館や
浜辺や 鎮守の森で

あんなことや こんなことして

ある部分では
今どきより 遥かに奔放に
エネルギーを 発散していたはずで

そして そこには
笑顔や トキメキや ドラマが
あったはずで

それでも

私が
母が歌う
♪満州娘♪
に 今ひとつ もやもやするのは

搾取する側の 存在が
見え隠れするから

満州娘は 16歳

まだまだ子どもだ

いくら 時代が違う
といったって

当時 男子の徴兵が
一番若く 引き下げられた年齢だって
19歳だからね

16歳の娘の 結婚を
よしとする 慣習

それを
魅力的な歌につくり

かわいい少女歌手に 歌わせて
流行らせて

それこそが
女として 幸せな選択だ
と 信じ込ませる 大人たち

母は
子どもの頃 この歌を聴いて

私も 早く16歳になって
花嫁さんになりたい

って 思ったものだわ

な~んて
遠い目をして 呟くけど

でも
考えてみたら

あの時代に 限らず

自分たちに都合のいい
仕組みを作ったり

立場を使ったりして

子どもを 利用したり
子どもから 搾取する大人は
いつの時代にも いるんだよね

ついこの間だって

ホラ
あの人たちや あの事件

▼次回はこちら▼

>>介護生活で見つけた小さな幸せの瞬間。変わらない母の愛【認知症母との介護生活#46】

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