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【あんぱん】注目を集めた登場人物は、学ラン姿のいせ(ミセス大森元貴)。崇(北村匠海)の生涯に深く関わっていく——

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田幸和歌子

【あんぱん】注目を集めた登場人物は、学ラン姿のいせ(ミセス大森元貴)。崇(北村匠海)の生涯に深く関わっていく——

「あんぱん」91回より(C)NHK

1日の楽しみは、朝ドラから! 数々のドラマコラム執筆を手がけている、エンタメライター田幸和歌子さんに、NHK連続テレビ小説、通称朝ドラの楽しみ方を毎週、語っていただきます。漫画家のやなせたかしさんと妻の小松暢さんをモデルに、激動の時代を生き抜く夫婦の姿を描く物語「あんぱん」で、より深く、朝ドラの世界へ!
※ネタバレにご注意ください

▼前回はこちら▼

【あんぱん】戦後をたくましく生きる女性たち。その中にひとりちんまりと座る嵩(北村匠海)のフィット具合が絶妙だ

ラブコメ要素が盛り上がっていく展開に

気付けばすでに残る予定放送期間も3分の1ほどとなった今田美桜主演のNHK連続テレビ小説『あんぱん』。第19週「勇気の花」が放送された。

前週、嵩(北村匠海)とのぶ(今田美桜)がついに結婚、のぶの妹の蘭子(河合優実)は東京に転勤、一緒にメイコ(原菜乃華)も上京するなど、物語は大きく展開した。その流れを受け、今週も東京での生活を中心にスピーディな展開となった。

のぶは代議士の薪鉄子(戸田恵子)の秘書に任命され、忙しい日々を送る。嵩もまた、三星百貨店の宣伝部で活躍し、漫画を描く時間も夜遅い時間に睡眠時間を削るなどしてしか得られないほどの日々を過ごす。

そんななか手塚治虫をモデルとした気鋭の漫画家・手嶌治虫の作品『新宝島』にショックを受け、「『新宝島』みたいな漫画、ぼくにはとても描けないよ」と、ふたたび思い悩んでしまう。そのさまを「たっすいがはいかん!」とのぶにたしなめられていたが、「たっすいが」の嵩の根っこの部分は三星で立派に働く今も、ちっとも変わっていないことがわかる。

戦後の東京編で、作中の登場人物が交差する場として便利な存在がメイコが働く銀座の喫茶店「カフェ イヌワシ」だ。嵩も打ち合わせなどで頻繁に利用するという設定が、「出会い」を自然に演出する。

ある日嵩が連れ立ってきたのが健太郎(高橋文哉)だ。メイコが健太郎に想いを寄せ続けていることはほとんどの視聴者が知るところだが、健太郎突然の来店に当然メイコは激しく動揺する。健太郎は現在なんとNHKのディレクターをつとめているという。そ
して、歌が好きで歌手に憧れるメイコが高知時代に家出した原因ともなった「のど自慢」のことも覚えている視聴者は多いだろう。

【あんぱん】注目を集めた登場人物は、学ラン姿のいせ(ミセス大森元貴)。崇(北村匠海)の生涯に深く関わっていく——(画像2)

「あんぱん」第93回より(C)NHK

「今度予選があるから出てみたら?」
出来過ぎた話かもしれないが、なんでも涼しい顔でこなす健太郎のキャラクターからすると、そこには説得力を感じられる。

しかし、肝心の予選会本番。練習を重ねた「東京ブギウギ」を歌い出すが、途中で健太郎の姿が見えたことでやはり動揺し、うまく歌えず不合格となってしまう。そこはNHKにつとめる健太郎の顔でどうにかできるものではなさそうだ。

落ち込むメイコだが、これまでメイコが勇気を出して伝えた気持ちが伝わらないということを何度も繰り返してきた健太郎は、ここへきても「おれ、メイコちゃんにそげん嫌われたとね? おれがなんしたとよ?」とやはり鈍感だ。

そこにのぶと蘭子がメイコに伝えた言葉によってようやく気づいた健太郎、
「おれ、とんちんかんなやつやけん。ずっと気が付かんで、ごめん」
と謝り、NHKに入ったきっかけも、メイコが「のど自慢」が好きだったからというものだったことを伝える。

メイコもあらためて自分の素直な気持ちを口にし、ようやく二人は気持ちを通い合わせることができた。のぶと嵩、メイコと健太郎、物語の初期から視聴者が見守り、なかなか思いが通いあわずやきもきハラハラ続けてきた、ラブコメ要素を盛り上げる存在であったが、次々と結ばれていく幸せな展開だ。

【あんぱん】注目を集めた登場人物は、学ラン姿のいせ(ミセス大森元貴)。崇(北村匠海)の生涯に深く関わっていく——(画像3)

「あんぱん」第93回より(C)NHK

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