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最期を看取る時「もし家族と意見が食い違ったらどうする?」在宅医のアドバイス

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永井康徳

看取りの場面でよく起こる「カリフォルニアから来た娘症候群」。久しぶりに顔を合わせた家族が、治療やケアに強く意見し、現場が混乱してしまうことをいいます。そんなとき、どうしたらいいのか——。多くの看取りを見届けてきた「たんぽぽクリニック」の在宅医・永井康徳先生の新刊『後悔しないお別れのために33の大切なこと』から、そのヒントを抜粋してお届けします。

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>>衝撃データ「命の期限が迫った時、7割の人は意思を伝えられない」日頃からすべきことは?【後悔しないお別れ】

家族と意見が異なったら味方を探そう

どう死にたいかを自分で決めていても、家族の反対にあうということは少なくありません。私も実際にそのようなケースをたくさん経験してきました。

現場をひっかき回す〝カリフォルニアから来た娘〟

在宅医療で使われる言葉に「カリフォルニアから来た娘症候群(daughter from California syndrome)」というものがあります。これは、遠方に住んでいて長く顔を合わせていない家族が、看取りの近い高齢の親族が入院している病院に駆けつけ、現在受けている治療やケアについて異論を唱えたり、延命治療を積極的に行うよう主張したりして、医療スタッフや家族を混乱させることをいいます。

ちなみに、カリフォルニアでは「ニューヨークから来た娘」とか「シカゴから来た娘」などと呼ぶそう。

久しぶりなので状態が悪化している現在の状況が受け入れられなかったり、これまで積極的に関わってなかったことに対する罪悪感があったりして、そのような行動に出てしまうといわれているのですが、声が大きい(強く主張する)ので、言われた家族がそれまでに決めていたことを翻意してしまうことが少なからずあります。

それまで時間をかけて、患者さん、家族、医療スタッフが何度も話し合って決めていても、家族一人の意見でちゃぶ台をひっくり返されてしまうのです。

もちろん、そのような場合もたんぽぽクリニックのスタッフは、患者さんの希望に沿うよう、誠心誠意、時間をかけて説得します。患者さんはもちろんですが、家族の同意が得られないと、よりよい看取りはできないからです。

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