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「殴られ蹴られが日常だった」大嫌いな父親への恨みを昇華させるまで【私の毒親体験記】

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ゆうゆうtime編集部

酒を飲むと暴れだす父に怯え、殴られ蹴られるのが当たり前だった子ども時代。あの頃の傷と怒りは、父が亡くなった後も、長く私の中でくすぶり続けて――。

殴られ蹴られが日常だった。今思えばまさに地獄の子供時代

私の父は、45才で肝硬変で亡くなりました。

身長185cmの大男で、普段は口数も少なくおとなしいのですが、お酒に酔うと家で暴れて、家具を壊したり、私や姉に暴力をふるったり。

私のおでこには、殴られた時に父の指輪で付いた傷がいまだにあります。姉にいたっては赤ちゃんの時、泣きやまずに「うるさい!」と祖父母宅の部屋から庭に放り投げられ、ちょうど外にいた祖母がスライディングキャッチして命拾いしたり……。

今なら間違いなく逮捕されていることでしょう。当時だって誰か通報すればよかったのに!
DVなんて言葉もなかった時代です。飲む・打つ・買うの三拍子で仕事は続かず、何か始めては借金を増やすばかり。母は生活のため朝晩働き、ほとんど家には居ませんでした。

お風呂の給湯器が壊れても修理できず、銭湯も週1回行ければ良い方。借金取りが玄関先に現れるようになり、両親ともに家に帰ってこなくなり、2週間位食事は給食だけだった時もありました。

お酒が入ればいつ暴れ出すかもわからず、顔色を窺いビクビクする毎日。酔って帰っては、叩き起こされ、肩を揉め、足を揉めと。1時間もたつと手が痛くなってくるのですが、泣くと殴られるため、必死に耐えて。

今思えば地獄のような日々。

小学5年の時に両親は離婚。私達姉妹は母方につき、父は愛人(7才上の姉と同じ年!)のもとへ。そして私が高校1年の時に父は他界しました。

お葬式の時、小柄な愛人から聞いた話では、やはり父は酔うと暴力をふるっていたそうで、やり返したらさらにボコボコにされたと笑うその人とはちょっと仲良くなりました。父の死後、手紙のやりとりをしたりしましたが、その人が再婚してから連絡は取っていません。どうか幸せに暮らしていますように。

お父さんが乗り越えられなかった事、私は乗り越えたよ

父が亡くなった年を超えて、私は現在53才。
振り返って思うことは、父は、何が大切かもわからず、何かをコツコツ積み上げる楽しさも知らず、楽して稼ぐ事ばかり夢みて生き、家族みんなに嫌われて可哀想な人だったなということです。

父の死後、自分も色々な経験をしました。

祖父母は再婚同士、父は祖母の連れ子の立場。父と祖父には長年深い確執がありました。母親を取られてしまったような気持ちでいたのかもしれません。

私の母も父の死後再婚し、義父と私にも確執が生まれました。お互い理解しあうまでに25年かかってます。

同じ立場を経験し、父が乗り越えられなかった事を乗り越えたような気もします。今ではなんでも言い合える親子になりました。

子供時代の経験にひきづられ、長い間悲しい思いもしたし、心の底から父を恨んできたけれど、姉も私もそれぞれ結婚し家庭をもつようになり、大切な人ができました。

自分の人生を生きるうえで、人を恨んだり憎み続けるのは疲れるし、全然楽しくない。クソみたいな親でも、その父の命があったから、今私も姉も生きているんだ、だったらその命を繋いでくれた事のみに感謝していこうと決めました。

父の事や嫌な思い出にいつまでもかまっていられないと言ったら冷たいでしょうか?自分や家族が幸せになることが私の静かな復讐です。

ちなみにDVする男性には特徴があると思っていて、自分より目下の立場の相手にどういう態度をとるか、よーく観察するようにしています。どれだけ人あたりが良くとも、気を使わない相手には、その人の本質が現れるのかなと思います。

結婚するまで、亡くなった父は母にはとても紳士にふるまっていたそうで、結婚後も私にだけは手を挙げなかったと言ってきた母。一所懸命に働いて、家族を支えてきた母。共依存という言葉を知ったのは大人になってからです。
子供の命が危険なめにあっても気づかなかったのかな。少し先を想像すれば、今どうするべきかわかるのに。

暴力からは守ってもらえなかったけれど、母の命にも感謝を。みんなが笑って暮らせるパラレルワールドがあったらよかったのにと思わずにはいられません。人生の後半は笑いと感謝にあふれた時間を大切に生きていこうと思います。
親のせいで不幸になんかなるもんか。

(50代・パート)

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