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「早く60歳になりたい」年齢にとらわれず、幸せを掴み続ける行動術【LiLiCoさんのターニングポイント・前編】

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第一線で活躍しながら、歩みを止めることなく新たな扉を開き続けるLiLiCoさん。「早く60歳になりたい」とカラッと笑うその姿には、年齢を重ねることを恐れは微塵もなく、強さとしなやかさが宿っています。自分を止めずに挑み続ける彼女が語る、50代からの人生哲学とは。

今年55歳。早く60歳になりたい!

今年、55歳になるLiLiCoさん。「年齢をどう受け止めているのか?」を尋ねると、率直でいて力強い口調で「早く60歳になりたい」と返ってきた。

「これは冗談でも強がりでもなく、本心からそう思っています。50代というのはまだ説得力が弱い年代。60歳、70歳と年を重ねて初めて、『60年、70年生きてきたからこそわかるよね』とやっと言える気がするんです。だから私は早くそこに到達したくてしょうがない」

30代の頃よりも、今の方がずっと幸せだと感じているとも話してくれた。40歳の誕生日を迎えた日のことをLiLiCoさんは鮮明に覚えている。

LiLiCo スウェーデン 純烈

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「“住みたい家、やりたい仕事、好きな仲間”、そのすべてがそろった瞬間でした。自分のお給料で払える家に住み、大切な友人たちに囲まれて、自分の人生がようやく形になったように感じたんです。あのときは本当に幸せで、40代がこんなにも楽しいとは思いもしませんでした。でも、その幸せは決して穏やかな日常ではなく、怒涛のような日々の中で手にしたものでもありました。
震災後、テレビ出演が一気に増え、一日に三本の収録をこなすことも珍しくなかった時期。玄関には着替えが散乱し、疲れ果てて四日間シャワーを浴びられないことさえありました。バラエティ番組でしゃべり倒し、独身女性が言いたい放題だった時代を駆け抜けるように生きていた40代は、記憶さえ曖昧になるほどの忙しさ。それでも、あの頃はテレビに出ることで『タレントとして認めてもらえる』という実感があった。たくさんの方に認知していただくためにも40代はテレビに出続けることに全力を注いでいました。スタジオはいつも熱気に包まれ、笑い声や指示が飛び交う。瞬時に反応し、爪痕を残すことを求められる現場は、まるで戦場のようで。あのプレッシャーの中でとにかく結果を残さなければいけない。今思えば、あの空気が私を強くしたのかもしれません」

自分を止めているのは、他人ではなく自分自身なんです

50代に入ると、仕事との向き合い方は大きく変わった。量ではなく質を重視できるようになり、40代よりも充実した日々を過ごしているとLiLiCoさん。忙しさは相変わらずでも、心はむしろ満たされているのだ。

「やりたいことを選べるようになった今は、40代よりもずっと充実していると感じます。振り返れば、あの過酷な時代があったからこそ、ありがたみがわかるというか。忙しさに流される日々から、少し立ち止まり、自分の人生を自分で選び取る喜びを知るようになりました。その中で、私がずっと大切にしているのは『やりたいことがあるなら、まず一歩踏み出す』ということ。例えば、日本では、『美しくなければ俳優になれない』『特別な才能がなければ夢は叶わない』と思い込んでいる人がとても多い。でも、実際はそんなことはなくて、やりたいなら、まずその思いを言葉に出すこと。タレントになりたいなら養成所に申し込む、オーディションを受ける。カフェで働きたいなら、店員さんに『ここで働けますか?』と聞いてみる。たったそれだけでいいんです。声を出すことさえできない人は、注文だって取れません。つまり、その仕事には向いていないということ。自分を止めているのは、他人ではなく自分自身なんですよね。

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