驚きの事実!80歳までに3人に1人が発症する【帯状疱疹】その予防策とは
50歳を過ぎると発症率が急激に高まるという「帯状疱疹」。発症すると2割が後遺症の帯状疱疹後神経痛に移行するともいわれています。病気の特徴を知るとともに、ワクチンについても知っておきましょう。
水ぼうそうのウイルスが免疫力低下により再活性化
ときどきテレビで見かけるワクチンのCMや、病院に貼ってあるワクチンのポスターなどを見て、「帯状疱疹」が気になっている人もいるのでは。また、帯状疱疹の予防のためにワクチン接種をしたほうがいいのか、迷っている人も多そうだ。
帯状疱疹の発症率は50代から増え、80歳までには3人に1人がなるといわれている。どのような病気なのか、Dr.孝志郎のクリニック院長・藤澤孝志郎さんに伺った。
「多くの方が子どもの頃、水ぼうそう(水痘)にかかっていると思います。水ぼうそうは水痘・帯状疱疹ウイルスによって起こりますが、帯状疱疹も水ぼうそうと同じウイルスによって起きる病気です。
最初の感染では水ぼうそうとして発症し、水ぼうそうが治ったあともウイルスは体の中の肋間神経や三叉神経など、神経節に潜伏します。加齢やストレス、疲労、病気の治療(治療薬)などによって免疫力が低下するとそれが再活性化して、帯状疱疹として発症するのです。50歳以上に多いのは、加齢により免疫力が低下するからです」
成人の約9割が水ぼうそうのウイルスを持っている、といわれている。
「ウイルスは100年以上、潜伏すると考えられているので、寿命がある限り発症のリスクがあります」
帯状疱疹は、痛みから始まることが多いという。
「症状は神経に沿って出るため、痛みがあります。痛みには個人差があり、ヒリヒリ、ビリビリした痛みから、電気が走るような激痛、灼熱感など。その後、水疱を伴う赤い発疹が出ます。水ぼうそうは全身に発疹が出ますが、帯状疱疹は体の一部、左右どちらか片側に帯状に出るのが特徴です」
痛みを伴う発疹が出たとき、それが体の片側であれば帯状疱疹が疑われる。
「発疹が出る場所は、多くは胸や脇腹、背中、腕などですが、顔や頭、首に出ることも。耳の中やその周辺に出ることもあります。帯状疱疹が怖いのは、神経痛(長く続く強い痛み、帯状疱疹後神経痛)など、後遺症への移行がある点です。
耳の中に症状が出た場合はラムゼイ・ハント症候群といって、顔面まひや難聴、めまいといった合併症が表れることも。目の場合は、視力低下や失明に至る場合もあります。治療が遅れれば遅れるほど後遺症や合併症のリスクが高まるので、できるだけ早く発見し治療を受けることが大事です」
たとえば痛みだけで発疹の症状が弱い場合、「様子を見よう」と受診を控えがちだ。また顔の場合は、頭痛や目の奥の痛みなど、片頭痛の痛みと間違えることもある。
「いつもと違う痛みや、帯状疱疹の発疹かもしれないと疑ったときは、すぐに受診を。受診は皮膚科専門医や総合内科医のいる医療機関に。夜間や休日であれば、救急外来に行くことをおすすめします。がんやリウマチ、膠原病などの病気でステロイド剤や免疫抑制剤を服用している人は、免疫力の低下により帯状疱疹が起きやすいので、受診時はお薬手帳の持参を。診断がしやすくなります。治療には抗ウイルス薬や鎮痛剤を使用しますが、症状によっては入院が必要なケースもあります」
【もしかしたら帯状疱疹かも!?】
□ヒリヒリ・ビリビリした痛み、ズキズキする激痛、灼熱感(焼けるような痛み)などが、体の左右どちらか、片側にある
□水ぶくれ(水疱)を伴う赤い発疹が体の左右どちらか、片側に帯状に現れる
□症状は胸、腕、背中に出ることが多いが、耳や目、頭、顔に出ることも
