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【ばけばけ】朝ドラ恒例のダメ父、かわいいウサギがシュールな展開…悲惨なのに笑える斬新な演出がいい

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田幸和歌子

これからの時代は武士がその階級特権によって生きる時代ではなく、自らの手で稼いでいく時代。そんななかで司之助が選んだのが、舶来のウサギの飼育と販売だった。

なんと、5円のウサギが600円の価値が出たりするという。その高騰の無茶苦茶さは、トキが小学校に「600年通える」というわかりやすすぎるたとえによって伝わるが、誰がどうみてもバブル的なにおいがし、「あぶない」ビジネスに感じられる。この舶来ウサギが投機対照になり高騰したという現象は、実際の明治時代にもあった出来事である。

実際に出てくるウサギたちはかわいいし、司之助のウサギビジネスもいったんは成功する。しかし、多くの視聴者は予想したと思うが、その価値は大幅に暴落し莫大な借金を抱えることになる。

苦境のなか、ある日の食卓にのぼったのが「しめこ汁」、そこにはペットとしていた「うさ右衛門」の変わり果てた姿があったというなかなか衝撃的な展開をみせた……しかし、父と祖父のかけあいやひょうひょうとしたたたずまいによってどこかおかしみがそこには存在する。

相当な大変な事態でも決して重くしすぎないこと、それが本作が大切にする姿勢なのだろうというところにこれからへの期待が高まった。

もはや「朝ドラ恒例の」とすら言われることもある〝ダメ父〟ぶり。没落武士極まれりである。松野家はとうとう「川向こう」での生活を送ることになる。

【ばけばけ】朝ドラ恒例のダメ父、かわいいウサギがシュールな展開…悲惨なのに笑える斬新な演出がいい(画像5)

「ばけばけ」第4回より(C)NHK

前作『あんぱん』では、楽しいことや悲しいことがあれば、いつもあんぱんを食べるということで笑顔を生んでいた。本作のトキは、つらいことがあれば、いつも母のフミ(池脇千鶴)に怪談を話してもらっていた。これがのちの、冒頭でも描かれたヘブンへの語りかけにもつながっていくことがよくわかるうまい演出である。

当然、ヘブンとトキは、まだ出会ってはいない。作品ラストに出会うまで「あと5612日」とテロップが出されるという斬新かつオーバーな演出も少し笑ってしまう。『あんぱん』では社会人となって出会うという史実を、幼馴染だったという大胆な設定変更で二人の人生を描いたが、『ばけばけ』の二人が出会うにはまだまだ時間がかかりそうだ。

さて、第1話では二人が出会うまでまだまだ時間がかかりそうだと思っていたが、第5話でトキは18歳に成長、残り日数も一気に4000日ほどスキップしたことになる。

とはいえ時が流れても、松野家の貧乏暮らしは変わらず、トキは遊郭への身売りを打診されたりすることもある。借金取りに「婿をもらいましょう!」と宣言するが、縁結びの神様の占いの結果は「待ち人は遠いところの人」というもの。あと1000日以上あるわけだから仕方ない。がんばって耐えて待とうという気持ちにもなってくる。

次週は、「貧乏脱出お見合い大作戦」(予告ナレーションより)が展開される。ヘブンはいま、どこにいるのか? お見合いの行方は? 期待を高めながら第2週を待ちたい。

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