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【ばけばけ】婿の銀二郎(寛一郎)が抱えている思いに、トキ(髙石あかり)は気づけていなさそうだ

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田幸和歌子

北川景子の「お姫様演技」は堂に入ったもの

そんななか、傳は金策に追われるうちに倒れてしまう。三之丞と同じく、これまで何もしてこなかったであろう傳の妻、タエ(北川景子)が看病しようとするものの、おかゆすらろくに作れない有様だ。この北川景子演ずるタエのキャラクターが、どこかかつて彼女が大河ドラマ「どうする家康」(2003年)で演じた信長の娘・茶々を思い起こさせるような奔放な部分もあるようで、この「お姫様演技」は堂に入ったものといえる。

何もできないタエに代わり、これまでの恩返しとばかりに看病を買って出たのがトキだ。新婚間もない時期ではあるが、工場勤めと看病に時間を大きく割かれる日々が始まる。看病生活の大変さというシンプルな理由だけでなく心配そうにするのは、司之助と母のフミ(池脇千鶴)である。

【ばけばけ】婿の銀二郎(寛一郎)が抱えている思いに、トキ(髙石あかり)は気づけていなさそうだ(画像4)

「ばけばけ」第14回より(C)NHK

トキが背負う運命は、お金などの生活面だけではないことは、うすうす視聴者も感じ取っていたはずだ。そう、トキは司之助とフミの実の娘ではなく、傳とタエの子供である。トキは子供に恵まれなかった松野家の跡取りとして、その運命がはじめから決められており、生まれたときに松野家の娘として引き取られていった。それはトキ自身は知らない。そんな「実の娘」が看病として毎日通うことになる。これもまた、何かの必然で導かれたような運命である。この時代には「家を継ぐ」「跡取り」ということが今では想像もつかないほどの重要事だったと思われるが、今のところ「何もしらない」トキを取り巻く〝4人の親〟、そのそれぞれの心情がどう動いていき、どう演じられていくか、見守る側のハラハラ成分はかなり強い展開だ。

「二度と母親の顔は見せるまいと誓ったのに」
タエの言葉が胸に迫る。
そんなトキの背負う運命は、思わぬところから三之丞に知られてしまうことになる。

トキの献身的な看病もてつだい、傳の容態は少しずつ回復の兆しをみせる。工場の経営はさらに悪化の一途で、悪い空気のなか、ミスをした女工に検番の平井(足立智充)が手をあげてしまう。ひさしぶりに現場を訪れた傳がそれを目撃し、ショックを受け、社長代理の三之丞を激しく叱責する。すると三之丞はトキの出生の秘密を口にし、その置かれた立場の苦しさを告白する。

現代とは違う基準の「家」という制度の大変さ。トキはそれらを「読んで」暮らしを続けるが、パートナーである婿の銀二郎が抱えているであろう思いには、気づけていなさそうなバランスも、ドラマを見る側にとってのちょうどいいバランスとして目を引く。

松野家と雨清水家の「家」としてのバランス、トキが生まれる前から背負った運命、そしてまだ新婚のトキと銀二郎はどうなっていくのか。ハラハラを抱えたまま4週目に突入していく。

【ばけばけ】婿の銀二郎(寛一郎)が抱えている思いに、トキ(髙石あかり)は気づけていなさそうだ(画像5)

「ばけばけ」第14回より(C)NHK

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