【画像多数】吉井和哉、人生の限りある時間とともに鳴らし続ける“いま”のうた
ロックバンドTHE YELLOW MONKEYのフロントマンとして、90年代から日本の音楽シーンを牽引し続けてきた吉井和哉さん。現在、全国公開中のドキュメンタリー映画『みらいのうた』は、そんな吉井さんの音楽人生をたどると同時に、「生きること」そのものを見つめ直す作品でもあります。
今回はそんな吉井さんの貴重な独占撮り下ろしカットも含めた画像多数の記事をお送りします!
「まさか自分が」から始まった、覚悟と信頼の日々
映画の中で明かされるのが、吉井さんが喉頭がんを患っていたという事実です。
「まさか僕が、しかもよりによって声帯だとは思いませんでした」と語る一方で、当時は仕事が重なっていたこともあり、「逆に覚醒したような感覚だった」と振り返ります。
治療を支えたのは、信頼できる医師の存在でした。
「医療のレールにちゃんと乗っているから大丈夫」という言葉に、大きな安心感を得たといいます。33回に及ぶ放射線治療は、コロナ禍の緊張感のなかで続きましたが、「治ると信じていた」と淡々と語る姿が印象的です。
困難さえも笑いに変え、想いの力を信じて
治療中の様子は、映画の中にも収められています。
照射用のマスクを「アイスホッケーみたい」と笑いに変えるなど、吉井さんは厳しい状況でもユーモアを忘れません。「まだ声が出ることに感謝するしかない」と語り、“病は気から”という言葉をどこか本気で信じていたそうです。
密着カメラが回り、東京ドーム公演という明確なゴールがあったことも、大きな支えでした。
「嘘みたいにストーリーが全部そろっていった。この映画を撮るためにがんになったのかと思ったくらいです」。
東京ドームで見た景色は、「この世のものとは思えないほど神々しかった」と振り返ります。
人は老い、終わりがあるからこそ前に進める
また、同世代の死や“老い”についての思いも。
「昔は不老不死だと思っていましたが、人はちゃんと老いていくし、タイムリミットがあるんだと実感しました」。
だからこそ、「誰しもが人生の締め切りに追われて、やらなきゃいけないことがある」と感じるようになったといいます。
映画に登場するEROさんは、その“締め切り”に対して「歌うこと」を選び、最後までロックの精神を貫いた存在です。その生き方は、吉井さんにとってロックと自分との距離感を確かめる指標でもありました。
声が思うように出なくなり、引退を考えたこともあった吉井さんですが、今は「きれいに歌えることだけがすべてじゃない」と感じています。
病を経験したからこそ生まれる言葉や表現があり、それをファンが自分の人生と重ねて受け取ってくれている。その実感が、今もステージに立ち続ける原動力です。
来年60歳を迎える今も、吉井さんの中には明確なビジョンがあります。
「見えていることは、きっと叶う」。そう信じながら、吉井和哉さんはこれからも“いま”を生きるうたを鳴らし続けていきます。
【Information】映画『みらいのうた』
密着期間3年を超えるドキュメンタリー作品。ロックミュージシャン吉井和哉と彼を音楽の世界に引き入れた“恩師”との40年ぶりのセッションのはずが――。限りある“いま”を生きるすべての者に響く人生と音楽のドキュメンタリー。
●監督・撮影・編集/エリザベス宮地
●出演/吉井和哉、ERO
●全国公開中
●製作幹事・配給/murmur
●配給協力/ティ・ジョイ
©️2025「みらいのうた」製作委員会
撮影/横山マサト
