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88歳・養老孟司先生から学ぶ人生訓「残りの人生において優先すべき事項」とは?

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ゆうゆうtime編集部

2020年に心筋梗塞、2024年にはがん、そして2025年4月には再発がんが見つかった養老孟司先生。88歳を迎えたいま、治療を受けながら淡々と日々を重ねる姿を、教え子であり医師の中川恵一先生と共に綴った1冊が、いま注目を集めています。『病気と折り合う芸がいる』(養老孟司・中川恵一共著/エクスナレッジ刊)から、一部抜粋してお届けします。第4回は、対談—死を考えるということ。

▼第3回はコチラ▼

>>「普通の肩こりとは違う」娘が見つけた異変。88歳・養老孟司先生のがん治療との折り合いをつける方法

残された時間を意識すると、未来を考える必要がなくなる

中川 聞きにくいことをおたずねしますけど、がんであろうとなかろうと、誰にでも寿命というものがあります。養老先生は、あとどれぐらいの時間が残されているという感覚ですか?

養老 今ですか? まあ、僕が最初に入院したのが1年くらい前ですね。残りの人生もそのくらいかな。今年いっぱいは持つだろうかという気持ちではいます。

中川 そこまではたぶん大丈夫でしょう。そのときに、やるべきことの優先順位という考え方は出てきませんか?

養老 僕はあんまりそういうことは考えないんです。物事を比べたり、そういうのが苦手なんですね。

中川 優先順位はつけない。養老先生の生活はこれまでとまったく変わらないということですか?

養老 そうですね。ただ以前に比べて、家族に任せようという気持ちにはなりました。家族が言うことはなるべく聞いてやろうと思って。

——ご家族が優先順位の1位ということですか?

養老 それは家族に確認しないでくださいね。家族にそんなことを聞いたら、絶対にそんなことはないと言うに決まっています(笑)。誰でも、残りの人生というものを考えたら、一番大事なのは家族と答えるんじゃないですか。

中川 私はこれまで3万人以上、がん患者さんを診てきましたが、家族には病状をくわしく伝えないでほしいという患者さんがいます。自分には何でも言ってかまわないけど、配偶者にはあんまり悪いと言わないでくれ。そういう患者さんは相当いますね。養老先生もそんな感じでしょうか。

養老 イギリスの脳外科医の『残された時間 脳外科医マーシュ、がんと生きる』という本があります。タイトルにもある「残された時間」というのは、確かに残された時間ですけど、理屈で考えると、われわれが現在生きているということは、常に何かを優先することです。

むしろ「残された時間」を意識すると、将来何をするとか、そういうことを考えずにいられるのではないでしょうか。

Profile

養老孟司(ようろう・たけし)
1937(昭和12)年、神奈川県鎌倉生まれ。解剖学者。東京大学医学部卒。東京大学名誉教授。'89(平成元)年『からだの見方』でサントリー学芸賞受賞。新潮新書『バカの壁』が大ヒット、460万部超えのベストセラーとなる。また新語・流行語大賞、毎日出版文化賞特別賞を受賞した。『養老先生、病院へ行く』『唯脳論』『かけがえのないもの』『手入れという思想』『人生の壁』『まる ありがとう』『ものがわかるということ』など著書多数。

中川恵一(なかがわ・けいいち)
1960年(昭和35)年、東京都月島生まれ。東京大学医学部医学科卒業後、同大学医学部放射線医学教室入局。社会保険中央総合病院放射線科、東京大学医学部放射線医学教室助手、専任講師、准教授を経て、現在、東京大学大学院医学系研究科 特任教授。2003年~2014年、東京大学医学部附属病院緩和ケア診療部長を兼任。共・著書に『医者にがんと言われたら最初に読む本』『養老先生、病院へ行く』『人生を変える健康学がんを学んで元気に100歳』など多数。

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この記事は『病気と折り合う芸がいる』養老孟司・中川恵一共著(エクスナレッジ刊)の内容を、ウェブ記事用に再編集したものです。

病気と折り合う芸がいる

養老孟司著・中川恵一著
エクスナレッジ刊

がん再発後の治療経過と、病気と折り合いをつけながら、淡々と日々を過ごす養老先生が、生と死について、また子どものこと、虫のこと、ネコのこと、自然のことなど多様なテーマについて語りつくす。

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