ラーメン1000円の時代に、私が選んだ食の楽しみ方【中道あんさん流】
なんとなくの外食がめっきりと減った
それから、梅田にでかけたら、必ずデパ地下のお肉屋さんに寄って、欲しいものを少しずつ(スライス肉を枚数で計ってもらう)1回食べきりサイズを「まとめ買い」するようになった。食材が良ければ、少々腕がなくても、焼くだけで美味しいものだ。家に材料があれば、「今日はアレ食べなきゃ」という勿体ながりの性分が出てきて、なんとなくの外食がめっきりと減った。
ここ1年、家族とも離れたおかげで「家族のために」使うお金が減って(1年間、焼肉屋さんでごちそうしていない)、私が食にかけるお金の使いどころが、だんだん定まってきた。
お腹を満たすよりも心を満たすための美しい規律と向き合う時間。それが会席料理だと思う。運ばれてくる一皿には「料理」という簡単な二文字では収まり切れないものがある。乱れを感じない包丁さばき、季節を写し取った繊細な細工。そして、隅々にまで行き届いたおもてなしの心と、それを引き立てる器。思わず、背筋を伸ばして心で味わいたくなるものだ。
この時間はひとりではなく、まるで1本の木を支えあう枝葉のような、気心の知れた仲間と分かち合うのが一番おいしいことを知った。こればかりは、食べ飽きるということがないから、心の底から敬意を払っているのだと思う。
「質が良ければ満足」という潔さに近いもの
これまで何度となく海外旅行に行って、現地では食にもお金をかけてきた。パリとポルトガルに行った時にふと気づいたことがある。おいしいと評判のレストランを探しあてて、お腹いっぱい楽しんできた。けれど、どうみても現地の人が少ない……。
これは、現地ガイドに聞いた話だけれど、特にスイスやフランスなどは外食費が高く、日常的に外食で済ませるには経済的に現実的ではないんだそう。近しい友人と過ごすなら、高いレストランへ行くよりも美味しいワインとチーズを買い込み自宅で何時間もかけておしゃべりするのが、彼らにとっては豊かな過ごし方みたいだ。彼らの質素は、我慢しているというより「選択肢が少なくても質が良ければ満足」という潔さに近いものがあると思った。
私もひとり暮らしを始める際には、「人が集まる家」をコンセプトにアクセスのいい場所に決めた。日本はおもてなしの文化が深く根付いているので、人を気軽に呼ぶという認識が薄い。だから、招く側のハードルが上がってしまうのだけれど、参加費を募ってしまうか、一品持ち寄り(ポットラックパーティー)のほうが、お互いの気が楽なのでは?と思うようになった。
外食をしなくなったのではなく、私は今、納得できる使い方だけを選ぶようになったのだと思う。目下のところ、どんなパーティーにしようか思案しているところである。
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