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【ばけばけ】錦織(吉沢亮)が真実を打ち明けた理由は、「トモダチ」ヘブンを“見守る愛”を貫いた結果だった

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田幸和歌子

第3の主人公、錦織(吉沢亮)は大きく動揺する

家族たちのいっぽうで、大きく動揺するのが、来日以来ずっとヘブンのそばにいて面倒を見続けてきた錦織(吉沢亮)だ。ヘブンにも「トモダチ」と言われ、どこか〝第3の主人公〟のように、ヘブンとトキの人生に寄り添うように自分自身の人生を歩んできているが、錦織にも校長就任という大きな転機が訪れていた。

錦織の途中からの人生はヘブンとの二人三脚といった感があるが、それはいわゆる〝バディ〟というよりも錦織からの、やはり「愛」によって一緒に歩を進めてきたものというものでもあったような気がする。「ジゴク」を回避してあげようと、ヘブンのために防寒具を用意したり、なんとかとどまってもらいたいという思いも、「愛」ゆえのものである。しかし、そこにはある種の依存もあったのではないだろうか。

これまでに描かれてきた通り、錦織は実は教員免許も持っておらず、次の瞬間にも立場を失ってしまうという立場のままここまできたという側面を持ち続けてきた。それを保てていたのは、ヘブンからの信頼もあった。誰にも言えない恐れを食い止めるという意味もあるだろう。しかし、ついに意を決し、生徒たちに真実を打ち明ける。

「私は、帝大を出ていない。庄田先生と一緒に東京で試験を受けたが、彼は合格し、私は残念ながら落ちてしまった。帝大卒業はもちろん、英語の教員資格免許すら持っていない」

これは、ヘブンすら知らない真実だった。校長には庄田(濱正悟)が就任することとなった。

【ばけばけ】錦織(吉沢亮)が真実を打ち明けた理由は、「トモダチ」ヘブンを“見守る愛”を貫いた結果だった(画像4)

「ばけばけ」第92回より(C)NHK

【ばけばけ】錦織(吉沢亮)が真実を打ち明けた理由は、「トモダチ」ヘブンを“見守る愛”を貫いた結果だった(画像5)

「ばけばけ」第95回より(C)NHK

錦織が誰にも言えずずっと抱えてきた真実。その葛藤を静かに描いていき、ときには不憫な状況に思わず笑ってしまうなどする姿は、吉沢亮の演技と相まって、錦織への愛着が湧くとともに、じわじわと胸に響き続けてきた。

そんな錦織に真実を打ち明ける決意をもたらせたのは、それは前述した、熊本行きは、松江が寒いという我儘でなく、トキを守るためのものであったというものを立ち聞きしてしまったことが大きいだろう。資格の無い錦織にとって、自身のアイデンティティであった存在の喪失ははかりしれないものがある。しかし、そこもまた、「トモダチ」ヘブンが貫こうとする「愛」のために、当初からの「見守る愛」を錦織なりに貫いた結果がそこにあった。

錦織の逡巡する思いが大袈裟な演技でなく伝えられて行くさまは、この週の圧倒的な見どころであった。ヘブンが去ったあと、一人、『日本滞在記』を読みながら吐血する場面もまた、この先に大きな影を残す。

【ばけばけ】錦織(吉沢亮)が真実を打ち明けた理由は、「トモダチ」ヘブンを“見守る愛”を貫いた結果だった(画像6)

「ばけばけ」第95回より(C)NHK

【ばけばけ】錦織(吉沢亮)が真実を打ち明けた理由は、「トモダチ」ヘブンを“見守る愛”を貫いた結果だった(画像7)

「ばけばけ」第95回より(C)NHK

結果的に、司之介(岡部たかし)とフミ(池脇千鶴)が熊本に一緒に移り住むということで、新生活はスタートするが、熊本でトキたちはのびのびと暮らすことはできるのか。次週以降にますます期待したい。

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