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「なぜ、ウチの子は結婚できないのか」そんな親が挑む「代理婚活交流会」とは?シビアな現場をレポート

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石川結貴

今は埼玉県に居を構える「お相手」候補の一家は、かつて我が家から車で10分ほどの場所に住んでいたという。学区こそ違うが、双方の子どもが小学生時代をすぐ近くで過ごしたことが判明して、その偶然に驚くほかない。

「こんなご縁があるんですね。もしかしたら駅やショッピングモールですれ違っていたかもしれないですよね」

「それに小学校の遠足とか、学校は違っても同じ場所に行ってるんじゃないですか」

「確か、モノレールに乗って動物公園でした」

「そうそう、いやぁ懐かしい」

親同士の距離は一気に縮まり、互いに満面の笑顔で話が弾む。父親は一段と声を高くして早口になった。

「この話、娘にしたらきっと飛び上がって喜びますよ。ぜひお宅の息子さんに会いたいって、そう言うに決まってます」

「ウチの息子だってそうだと思います。近くで育っていればいろんな話題があるでしょうし、そんなところからお近づきになれるといいですね」

思わぬ共通点、それも子どもだけでなく親にまで通じ合うものが見つかって、私もすっかり舞い上がった。あくまでも代理のはずなのに、自分たちが主導権を握っているかのように錯覚し、どんどん話が進んでしまう。

「娘は今、東北のI市にいますけど、結婚となったら地域限定社員という制度を使ってどこにでも異動できますから。もちろん千葉でも大丈夫です」

父親は口調だけでなく気持ちのほうも早い。見合いは既定路線、結婚まで視野に入れたかのように先走るが、私にしても浮かれた気分だ。うまくすればトントン拍子にいきそうで、否が応にも期待が膨らんだ。

互いの子どもの性格、趣味や休日の過ごし方、そんな話題も交えて盛り上がっていると、背後から女性の声がした。

──お話が弾んでいるところを、お邪魔してごめんなさい。──

少し前から順番待ちをしていたらしい。時間が押しているのを気にしてか、どことなく焦れた目でこちらを見る。時計を確認すると、後半の交流時間は残り半分を切っていた。

「これは失礼。どうぞどうぞ」

父親は体を開いて二、三歩後退し、入れ替わるように女性を促す。私と会釈を交わすと「またあとで」、そう言い残して離れていった。

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