「なぜ、ウチの子は結婚できないのか」そんな親が挑む「代理婚活交流会」とは?シビアな現場をレポート
ずいぶんと詳しそうな母親にあらためて尋ねると、十数回も代理婚活をしているという。これまで50人以上の親と身上書を交換し、娘の見合い回数は10回近いと苦笑した。
「前に参加した交流会には〈マンション所有〉とか、〈親は地元の名士〉なんてリストに載せてる男性がいましたよ」
「そういえば今回のリストにも〈年収900万円〉とか、〈女性を守れる強さを持つ〉とか、そんなアピールがありました。私は正直、こんなこと書かなくてもと思ったんですけど……」
あらためて男性リストの記載内容を思い出し、批判めいたことを口にすると、母親は真顔になった。
「でもそれって大事ですよ。娘を持つ親にしたら、何が気になるってやっぱり男性のお金です。具体的な年収が書いてあったり、女性を養う余裕がありそうだなって思えば、それだけで安心材料になりますから」
なにしろ身上書は別名「釣書」とも言う。言葉は悪いが獲物を釣るための餌、だから食いつきのいい、いかにもおいしそうな情報を用意したほうが効果的だ。母親の言葉を借りるなら、ただの〈会社員〉より〈年収900万円〉のほうが光って見えるだろうし、〈親は地元の名士〉とあれば将来が保証される可能性が高い。世の中の現実を考えれば一理あるが、私は素直に賛同できなかった。
「お金が大事なことはわかりますけど、なんだか値踏みされてるみたいで、いい気持ちはしないです」
率直に口にすると、母親は大きくうなずいた。
「わかります。そんな表向きのことで、いい悪いって言われるのはイヤですよね。ただ男性がお金で値踏みされるなら、女性は顔や若さで値踏みされたりしますよ。だからどっちもどっち」
これには反論できなかった。「婚活写真は盛ってナンボ」と言ったのはそういう背景があるからだろうし、現に私自身、女性の見栄えが全然気にならないと言ったら嘘になる。
「余計な話ばかりで、肝心の娘の話ができませんでした。息子さんの身上書をお預かりします」
母親は身上書をファイルケースにしまうと、早口でつづけた。
「ごめんなさい。ほかの方のところもまわりたいんです。娘についてお聞きになりたいことがあれば、いつでも私の携帯にお電話ください」
よろしくお願いします、と口にしながら、すでに体はKの円卓から離れていく。母親の後ろ姿を目で追うと、まっすぐ向かったBの円卓で、また別の親とにこやかに挨拶を交わすのだった。
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※この記事は『ウチの子の、結婚相手が見つからない! 親の代理婚活でわかった「結婚の壁」』石川結貴著(文藝春秋刊)の内容を、ウェブ記事用に再編集したものです。
※写真はイメージです
ウチの子の、結婚相手が見つからない! 親の代理婚活でわかった「結婚の壁」
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