【木村多江さん】本来のロック魂が炸裂!? 舞台で見せる、今までにない姿とは
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依田邦代
7月3日から上演される舞台『わたしの書、頁(ページ)を図る』で主役の町子を演じる木村多江さん。地味で孤独で退屈な毎日を送る図書館職員の役だ。一見、静かな図書館という空間でくり広げられる、にぎやかな妄想世界が見どころだ。トラウマを抱えた町子が、妄想から一歩を踏み出した先にあるものは……。
Profile
きむら・たえ●東京都生まれ。学生時代から舞台活動を始め、96年ドラマデビュー。以後、数々の映画やドラマに出演し、2008年の初主演映画『ぐるりのこと。』で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞など多数受賞。NHKBS「美の壺」の天の声を担当し、NHK Eテレ「木村多江の、いまさらですが…」に編集長役でレギュラー出演している。映画『Never After Dark』、『おそ松さん 人類クズ化計画!!!!!?』にも出演中。初主演となる紀伊國屋書店創業100周年記念公演『わたしの書、頁(ページ)を図る』は7月3~19日に東京・紀伊國屋ホールで上演される。日本舞踊(師範)、野菜ソムリエの資格をもつ。
誰の頭の中にも外から見えない「本当の自分」が
「メタバース」というインターネット上の仮想空間で、アバター(自分の分身となるキャラクター)として活動する……、そんなSF小説のような未来はすでに始まっている。そこでは誰もが理想の自分になって、現実の世界ではなし得ないことをやってのけたりするのだ。
しかし、考えてみるとメタバースが誕生する前から私たちは「本当の自分」や「なりたい自分」を自分の内側に隠していたりする。その姿は外からうかがい知ることはできず、知っているのは自分だけ、という。
だから、一見おとなしそうな人が実は過激な一面を持っていたり、強気に見える人が本当は臆病だったり……。そんな真の姿が何かのはずみで表に出ること、「人は見かけによらないものだ」とまわりの人々は驚愕する。
図書館の常連は社会になじめない孤独な人たちなのか?
たとえば、表面上はしーんと静かな図書館の部屋。そこでは手にした本の中の世界で各々が生きている。体は同一空間に存在していても、ひとりひとりの頭の中では異なる世界が展開されているのだ。
7月に上演される舞台『わたしの書、頁を図る』は、まさにそんな図書館で繰り広げられる笑いあり涙ありのストーリー。
とある町の図書館に勤める柳沢町子(木村多江)は、図書館を訪れる常連たちの様子や選ぶ本から、その人物像や職業、日常を想像するという、地味で孤独で退屈な毎日を送っていた。一見すると、無口で平凡な図書館職員。しかし、その頭の中は妄想が暴走気味のちょっと危ない(?)女性だった。
町子の妄想によると、常連の利用者たちは皆、何かしらの悩みを抱え、社会に馴染めない人たちだ。本の中の世界が唯一の落ち着ける場所に違いないと勝手に妄想しているのだった。
殻にこもっていた人間が人と関わるときに生まれる葛藤
実は町子自身も人との関わりの中で深く傷ついた過去を持ち、そのトラウマから抜け出せない人間だった。古キズから目を背けるように、現実世界との間に壁を作って暮らす。心を満たせるのは本の中の世界だけ。しかし、そんな妄想過多の一見平穏な日常は、図書館に現れたひとりの青年によって崩されていく。
自主映画を撮っているというその青年は、町子に「いつも通りの姿を撮らせてほしい」という。「なぜ、私を?」と激しく戸惑う町子。やがて撮影は図書館の常連たちも巻き込んでいく。そして、カメラに映し出された彼らの真の姿は町子が断定的に思い込んでいた人物像とは大きく異なるものだった。
否応なく妄想の世界から出て、現実世界で人と関わることを余儀なくされた町子。
「癒えたと思っていた傷口から膿がジュクジュクと出てきて、あまりのつらさに逃げ出したくなるのですが、町子は元の世界に戻ることなく、それまでとはまったく異なる選択をしていくことになるんです」(木村さん)
町子の取った行動とは……。
