朝ドラ「風、薫る」爽やかな恋愛が展開!直美のモデルとなった女性も陸軍少佐と結婚していた…
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田幸和歌子
対照的な二人の主人公
「風、薫る」の恋愛ドラマとしての側面は、これまでにも手厚く描かれてきた。直美はこれまでにも、詐欺師でありながらも直美の母親の情報集めなどに奔走してくれた寛太(藤原季節)や帝都医大病院の助教授・藤田(坂口涼太郎)など、複数の男性に好意を抱かれてきた。そんななかでも言葉は悪いが「平凡な」吾郎を最終的に選んだところが直美らしいというか、印象に残る部分である。
直美のモチーフとなった鈴木雅さんは、孤児ではなく旧幕府の武士の娘であり、陸軍少佐と結婚し二人の子供を産んだあと、夫が赴任先の仙台で亡くなったあとから看護婦となったところがドラマと大きく異なる点だ。「もし自分に看護の知識があったら」という思いが看護を志すきっかけになったという記録もあり、入学した養成所でりんのモデルとなった大関和と出会うこととなる。史実からは大きくアレンジされた部分ではあるが、一編の人間ドラマに厚みをもたせる翻案といっていいのではないだろうか。
いっぽうのりんも、記者の横沢(井上祐貴)がりんに結婚を申し込む。りんの恋愛模様といえば、なんといってもずっとりんを見守り続けたシマケン(佐野晶哉)の存在が気になるところだ。シマケンは働いてはいるものの、どこまでも夢追人のような空気を持ち続けるようなキャラクターだ。いいひとであることは間違いないが、一緒に生活するという現実を考えたときに、少し不安もよぎる、そんな存在である。横沢はといえば、地位など申し分なく、安定した存在だ。当の横沢も、自分のほうがりんをシマケンよりも幸せにできる、家族こと養えるとシマケン本人に宣言するほどである。
横沢がりんにひかれたのは、新潟で病人たちを看護するりんの強さである。しかしシマケンは、そのときのりんは、不安や怖さを抱えながら働いていたはずだと言う。本質を見ているのは、やはりシマケンということなのだろう。二人のやりとりが少し離れたところから見えたりんは、シマケンのその思いに打たれ、自分の思いにも向き合う。
雨が降る。りんは、雨に濡れるシマケンに傘をさしかけた。それがりんの答えである。ハッキリとした言葉と態度で見せる直美と対照的な思いの伝え方はとてもりんらしい。この二人の主人公のコントラストはこれまで20週にわたり丁寧に描かれてきたからこそ自然と受け入れられる。
りんと直美、二人の主人公は、これまで通り心を通わせ合いながら、それぞれ新しい家族を築いていく。家族の絆、そして家族というかたちも描き続けてきたこのドラマがこの先後半で描きだしていくものは何なのか。期待がふくらむ。
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