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「VIVANT」で緊張感をまとう別班の司令官から、ギリシャ悲劇の王妃まで。キムラ緑子さん64歳の現在地

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藤岡眞澄

「VIVANT」で櫻井司令を演じているキムラ緑子さん。年末には一転、ギリシャ悲劇の王妃役に挑みます。演出家・栗山民也さんとの稽古では、役を知り、少しずつ近づいていく過程を楽しんでいるそう。インタビュー第1回は、「VIVANT」の役どころから、舞台『エレクトラ』への想いまでを伺いました。

プロフィール

キムラ緑子さん 俳優
きむらみどりこ●1961年生まれ。兵庫県淡路島出身。劇団M.O.P.を経て舞台のみならず、映画・ドラマで幅広く活躍。NHK連続テレビ小説「ごちそうさん」で注目を集め、近年は「VIVANT」、NHK連続テレビ小説「おむすび」などに出演。2026年12月、舞台『エレクトラ』に出演予定。

「裏切るとでもお思いですか?」

「裏切るとでもお思いですか? 誰がどうなるかは絶対言いません」

現在放送中のTBS系日曜劇場「VIVANT」。キムラさんは、敵か味方かが複雑に錯綜する壮大なスケールのドラマで、国家の意思決定に関わる自衛隊の秘密諜報組織「別班」の最高司令官・櫻井里美を演じている。

AIに囲まれた指令室から堺雅人さん演じる別班員・野木憂助に国を守るための任務を伝える櫻井司令。キムラさんが登場した瞬間、画面の空気が一変、緊張感がみなぎる。

「私は海外ロケには行かず、ずっと日本の、あの指令室のセットの中で朝から晩までたった一人で喋って、寂しく格闘しておりました。だから、時々堺さんと会うと、ホッとしたりして」

たまに登場する野外ロケのシーンでは、櫻井司令の人間味が微かにほどけて、見ているこちらもホッとする。

「ただ、堺さんのセリフがめっちゃ早いし、間違えないんです。タタタタタッて。私は普段からしゃべるのが早いんですけれど、『ん?』っていう間に堺さんのセリフが終わっている。瞬発力がすごいです。シーズン1から2の間に海外ロケを経て、会話や動きにさらにキレが出て、ああすごい、さらにすごくなったなと思いました。だから、私もついていくのが大変です」

さらに、15年続くNHK Eテレ「グレーテルのかまど」では、15代グレーテル役の瀬戸康史さんと軽妙洒脱なやりとりを繰り出す、声だけの「かまど」役で出演している。

「司令」から「かまど」まで、幅広い役柄を軽やかに行き来するキムラさんが次に立つ舞台が『エレクトラ』だ。

「私の役は主人公・エレクトラの母、クリュタイムネストラです。『エレクトラ』といえば、いにしえのギリシャ悲劇。なんかむずかしそう、登場人物の名前を覚えるだけでたいへん、と思われるかもしれませんけれど、そうはならない。人間臭くて、現代に生きる自分たちと共有できそうな役柄ばかりです」

父を殺した母への復讐に燃える娘・エレクトラと、みずからの“正義”を胸に秘めながら王である夫を殺した母・クリュタイムネストラ。

「これは家族の話です。実は母親が嫌い、という娘もいるかもしれないでしょう。そういう身近で起こりがちな家族の物語でありつつも、いま世の中で起きている戦いの話でもある、と私は思っています」

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