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「VIVANT」で緊張感をまとう別班の司令官から、ギリシャ悲劇の王妃まで。キムラ緑子さん64歳の現在地

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藤岡眞澄

「性格的に、身体がすぐ動いちゃうんですね」

演出は栗山民也さん。キムラさんはこれまで何作か、栗山作品に出演してきた。

「栗山さんがどう演出なさるのかを聞いて、本番の舞台までに自分を成長させて変化していく。自分だけじゃなくて、共演者のみなさんもどうなっていくんだろう、って見るのも楽しみです」

W主演でエレクトラ役の明日海りおさんとは、今回が初共演となる。

「稽古場が楽しいんです。まず、栗山さんのノート(いわゆる“ダメ出し”)を聞く。共演者へのノートも稽古場で時間を共有しているから、次にこの人は何をしてくるのか、変化を見るのがすごくおもしろい。それが相手役だとしたら、こちらも変わる。それを結構長い時間かけてやる。最近、そういう現場が少ないので、栗山さんの現場すごくは好きですし、勉強になります。演じる役の人のことをもっともっと知りたい、理解したいと思い、研究し、ちょっとずつ近づくという作業なので、やればやるほど近づいていく感じが楽しいですね」

ドラマや映画にも活躍の場を広げているキムラさんだが、「私は舞台がいちばん馴染みがいい」と言う。35歳で東京に出てきてからというもの、ほぼ毎年欠かさず、舞台に立ち続けてきた。

「性格的に、セリフに合わせて身体がすぐ動いちゃうんですね、舞台の上で。でも、『エレクトラ』はサブタイトルが<詩と音楽の光景>ですからね。動いちゃう身体を抑えて、言葉だけでお客様に届けることができるのかしらっていう恐怖がちょっとだけあります」

ちなみに、直立不動で芝居をしなくてはならない、一人でしゃべらなくてはいけないシーンが多い「VIVANT」も「すごくたいへん」だそうだ。

クリュタイムネストラを演じることは「一人ストレートプレイ※」というキムラさん。では、娘に復讐を誓われる母・クリュタイムネストラにキムラさんご自身のお母さまを重ねてみることはあるのだろうか?

「考えたこともなかったです。でも、出てくるものは母なんでしょうね。演者というのは、その親からもらったものしか出せないから。だから、母の役を演じるとしたら、母の何かは出るんでしょうね。手の仕草でも、声でも、母はクリュタイムネストラのどこかにいるのかもしれません」

※ストリートプレイとは、セリフを中心に物語が進行する演劇

【information】詩と音楽の光景『エレクトラ』

2026年12月13日(日)〜12月30日(水) <東京公演>東京建物ぴあシアター
2027年1月16日(土)〜17日(日) <愛知公演>Niterra日本特殊陶業市民会館ビレッジホール
2027年1月21日(木)〜22日(金) <大阪公演>梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ

父を奪われ、母への復讐に燃える娘エレクトラ。夫を自ら裁いた王妃クリュタイムネストラ。愛と憎しみがぶつかり合うギリシャ悲劇を、台詞と旋律、沈黙と叫びが交錯する「詩と音楽の光景」として描く。これは、遠い神話ではない。そこにあるのは、戦争や分断、暴力が繰り返される今に通じる「正義とは何か」という問い。古代の悲劇が、いま新たな物語として立ち上がる。

原作:ギリシャ悲劇
翻案:岩切正一郎
歌詞:高橋亜子
音楽:ブランド・リー
演出:栗山民也
出演:明日海りお キムラ緑子 中尾明慶 
渡邉蒼 徳重聡 豊原江理佳 山西惇 ほか

企画制作:ホリプロ
主催:ホリプロ/ぴあ
公演サイト https://horipro-stage.jp/stage/electra2026/

撮影/橋本哲

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