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朝ドラ【ブラッサム】あの有名作家も登場!? 大作家誕生を予感させる演出にワクワク

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田幸和歌子

「たいした度胸だ」と大笑いされつつ……

そんな環境である。当然珠はおおいに影響を受け、再び原稿用紙に向かい小説を書き始める。岩国を舞台にした女性教諭が主人公の半自伝的小説といっていいであろう短編小説を書き上げ、黒崎に読んでほしいと手渡す。

この大雑誌の編集長への大胆なアプローチは、当の黒崎にとっても驚きだったのか、「たいした度胸だ」と大笑いされつつ原稿は預かられる。

しかし、後日、「稚拙。つまらん」と辛辣な意見を突きつけられる。黒崎が「素人」と言う通り、珠はまだ何者でもない。視点を変えると、そんな何者でもない「素人」が書いた原稿を、当代きっての雑誌編集長が読む時間を割いて批評する。その事実が、珠の可能性を教えてくれている。もっと腹の中を見せろ、そう檄を飛ばしたのだった。

黒崎の忌憚のない感想に落ち込む珠だが、それを知った秋山は、それはよかったと言い、こう続けた。
「自分を信じられない人間にいい小説は書けない。何があっても自分を手放しちゃいけないよ」

秋山、黒崎、そして小山……わずか数回の間にこの先の珠の行く道に大きく影響を与えてくれそうな人物が次々と登場する。これらのエピソードは、宇野千代の実際の歩みにも近い。『首都公論』のモチーフであろう『中央公論』を出版する中央公論社は、珠と保が暮らす東京・本郷にあり、実際にウエイトレスとして働いたレストランもまた、その近くにあったものだ。

「油断してると無邪気に心をえぐりに来る瞬間があった……」

編集部で黒崎は、ふと珠の小説を思い出し、その稚拙ゆえの〝純粋〟な言葉に何かしら掴まれるものがあったことを認めていた。まだ芽吹いていない才能の片鱗を予感させ、しかもそれを見抜く存在がいる。ものづくりをする人間にとって、またはそれを描くものを楽しく享受する人間にとって、定番ではあるがなんともワクワクする、のちの大作家の誕生を予感させる演出である。

朝ドラ【ブラッサム】あの有名作家も登場!? 大作家誕生を予感させる演出にワクワク(画像5)

「ブラッサム」第23回より(C)NHK

いっぽうで保との関係も日々を重ねることで少しずつ深まっていく。下宿先にも結局ふたりはきょうだいでないことがバレてしまうわけだが、誠実さを買われ、引き続き男女での同居を認められることになる。

そんななか、保はあらためて珠に思いを伝えるが、珠は「恋仲になったらきっと終わりが来る」だから怖いのだという。悪い噂で故郷を追われるというあまりにも辛い結末を迎えた珠が恋愛に身構えてしまうのは当然である。しかし保はそんな珠を強く抱きしめ、ようやく二人の思いは通じ合う。

そして数ヶ月後、珠の妊娠が発覚する。喜びととまどいのなか。新たな幸せを噛み締める。この先気になるのが、母として、妻としての生活が始まっていくことで、せっかく芽吹こうとした書き手としての才能はどうなっていくのか。もちろん史実はあるものの、作品内での珠はどういう選択をしていくのか。
「何があっても自分を手放しちゃいけないよ」

珠は「自分」を持ち続けることはできるのだろうか。秋山の言葉が余韻をもって響く。

朝ドラ【ブラッサム】あの有名作家も登場!? 大作家誕生を予感させる演出にワクワク(画像6)

「ブラッサム」第22回より(C)NHK

朝ドラ【ブラッサム】あの有名作家も登場!? 大作家誕生を予感させる演出にワクワク(画像7)

「ブラッサム」第25回より(C)NHK

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