秋に楽しむ「キク」と「マム」入門:菊花展の見どころから鉢植えの育て方まで
奈良時代に中国から渡来したキク。初めは薬草として重宝され、江戸時代に園芸植物として注目されるや、日本各地で盛んに品種改良が行われました。これらは古典菊として日本の園芸文化を大きく花開かせ、一方で海外では鉢植えや庭でカジュアルに楽しむマムが誕生。この秋は奥深いキクとマムの世界に触れてみませんか。
日本各地で触れられるキクの園芸文化
東京の新宿御苑では毎年11月上旬に「菊花壇展」が開催されます。断崖に垂れ下がって咲く姿をあらわした「懸崖(けんがい)づくり」や、1株のキクを1年以上かけて分枝させた「大づくり」など、紹介される仕立ての技術は目を見張るばかりです。
ほかにも「伊勢菊」や「嵯峨菊」など、各地で誕生したユニークな花が一堂に集められ、こんなキクがあったのか⁉と驚かされます。東京では花色などが変化する「江戸菊」が発達。管状の花びらが放射状に開く「管者(くだもの)菊」や、天皇家のご紋章に似る「ご紋章菊」も紹介されます。
こうした秋の菊花展は全国各地の愛好家によって開催されます。庭やベランダで栽培するキクとは趣が異なりますが、日本の園芸文化や歴史に触れられる貴重な機会。神社の境内などに飾られる菊人形などをふくめて、キクの奥深い世界を楽しみたいものです。
ハーブとして幅広く利用できるキク
キクはもともと不老長寿の力をもつ薬草として伝わりました。全草にすがすがしい香りをもつ東洋のハーブ。9月9日の重陽の節句には、花弁を浮かべたお酒を飲み、花を浸した水で体を清めるなどして、無病息災を願ったものです。
今でも乾燥させた花をティーでいただく菊花茶や、花を湯船に浮かべる菊湯などで、爽やかな香りが心身をリラックスさせるほか、解熱や消炎効果もあるとされます。わが家でも食用ギクをおひたしでいただくのが、季節の楽しみでした。
無農薬栽培されたキクの花はハーブ専門店などで入手できるほか、家庭でも手軽に栽培できるので試してみてはいかがでしょう。食用ギクは花首だけを集めたパックで、ス―パーなどでも扱いがあります。ほろ苦い味わいを甘酸っぱく仕上げていただきます。
