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心のモヤモヤ、うつうつに、時田ひさ子さんの提案「これをすればラクになる」自分なりの方法を集めて

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ゆうゆう編集部

いらいら、モヤモヤ、うつうつ、どんより……自分では持て余してしまうネガティヴな感情が暴走してしまわないように、立ち止まってみませんか。HSS型HSP専門心理カウンセラーの時田ひさ子さんにアドバイスをいただきました。

時田ひさ子
ときた・ひさこ●HSS型HSP専門心理カウンセラー
HSP/HSS LABO代表。早稲田大学文学部卒業。繊細で傷つきやすい一方で、好奇心旺盛で行動的という特性をもつHSS型HSP(かくれ繊細さん)の 研究とカウンセリングを行う。自らもHSS型HSPを自覚、生きづらさ研究歴は高校時代より35年に。著書に『その生きづらさ、「かくれ繊細さん」かもしれません』(フォレスト出版)など

「これをすればラクになる」自分なりの方法を集めましょう

母・ 妻・嫁・社会人として、真面目に一所懸命生きてきた人たちは、いろんな場面で理不尽さを感じてしまいます。モヤモヤ したときに、心がラクになる方法をいくつもっていますか?  その数を増やすことが大事だと思います。私のおすすめは2つあります。

1つ目は「言葉をもらえる何か(または誰か)」です。映画や小説、歌、名言集。信頼できる友人やカウンセラーなどとのおしゃべりだっていいと思います。今の自分のモヤモヤは、実は表面的なことで、心の奥に本質的な問題が隠れていることが多いものです。その問題を表現してくれる言葉に出合えると、気持ちがすっきりするものです。

2つ目は筋肉を動かすことです。ウォーキングでもヨガでもラジオ体 操でも掃除でもいい。まず動いてみましょう。即効性がありますよ。

50代や60代という年齢は、長い人生を最後まで走り抜くための給水ポイントになる時期。「これをすると 私らしくいられる」というツールを増やしていきましょう 。

相談1
老いていくことへの漠然とした不安にモヤモヤ・うつうつしてしまいます。

50代になり、体力の低下と加齢による心身の不調が気になり始めました。老眼でものが見えにくくなってきたし、足腰も痛くなるし、人の名前や地名がすぐに出てこないこともしばしば。何より、頑張りがきかなくなりました。
こうして人は老いていくのだと気づいたら、急に不安な気持ちになり始めたのです。これからはさらにできないことが増え、そのうち歩くことも不自由になるのでしょう。なかでも「認知症になったらどうしよう」という不安が常にあり、気が重くなります。
年齢を重ねることをポジティブに捉えられるといいなぁと思うのですが、簡単ではありません。(52歳・岐阜県)

時田ひさ子さんの提案  映画を観る、本を読む。 あなたが求めている言葉にきっと出合える

私たちはこれまでの人生で、いろんな経験をしています。失敗も後悔もあります。だから「またイヤな思いをしたくない」と警戒したり、慎重になったりするのです。老いは未知の世界ですから、不安を抱くのは当然ですよね。

でもあなたはさらに、「自分はきっと、この不安に対して何も解決策を立てられないんだろうなぁ」と思っているように感じます。「どうせ自分はグズグズ考えているだけで、一歩踏み出せないんだよ」と。だからますます不安が大きくなっていく。これもまた、過去の経験で得てしまった思考のクセです。

こんなマイナス思考のループが始まったら、意識的にこれを緩めてみましょう。役立つのは言葉です。映画や本のセリフに「これ、まさに今の私の気持ちだ!」とドキッとすることはありませんか? 格言や名言に、思わず涙が出そうになったことはないでしょうか。モヤモヤしている気持ちが具体的な言葉となり、「私は今こういう気持ちなのだ」と理解できると、モヤモヤは不思議と落ち着くのです。現実は何ひとつ変わなくても、小窓が開いて風が入ってくるように、新しい思考が湧いてきたり、マイナス思考のループを停止できたりします。

言葉をくれるツールは、たくさんもっておくといいですよ。映画や小説の他にも、名言集やエッセイ、歌、詩なども役に立ちます。異色なところでは、カード占いはいかがでしょ う。自分の感情や今の立ち位置を端的な言葉で表してくれるし、ゲーム性もあって楽しいのです。モヤモヤしたときこそ、たくさんの言葉を浴びてリセットしましょう。

相談2
朝起きると、いつもどんより。 思いどおりにいかないと、くよくよしてしまいます。

朝起きると、やらなければならないことがいくつも頭に浮かんできて、考えただけでどんよりしてしまいます。なかなかやる気が起きません。そして仕事で思うようにいかなか ったりすると、「もうダメだ」と絶望的な気分になることも。くよくよした気持ちをいつまでも引きずってしまい、なかなか前向きな気持ちになれません。 (62歳・三重県)

時田ひさ子さんの提案 理想の朝はどんな朝? 押さえつけてきた心の声を聞きましょう 。

きっとあなたは今まで、いろいろな場面でがまんして、そのつど、はがゆさやむなしさ、あきらめといったものを感じてきたのではないでしょうか。それが強迫観念としてある のかもしれません。

そこで、まず想像してみてください。あなたはどんな朝を迎えたいですか?  私の場合なら、「起きて!」「ご飯!」と誰にも言われず寝ていられる朝がいいな。天気は薄曇り(「洗濯しなくちゃ」と焦らなくてすむから)。では、仕事の場合はどうでしょう?  どんなふうに仕事が進んでいけば「今日はいい一日だった」と思えそうですか?  私の場合…… は、もういいですね(笑)。

やる気が出ないとき、あなたの希望する状況を具体的に想像してみませんか。気持ちが少し前向きになれると思います。もちろん「そんなこと考えるだけムダ」と思ってもいい のです。自分がどうしたいのか、本心と向き合うことが大事です。

相談3
マナーの悪い人、ルールを守らない人に、文句を言えなくていらいら、ムカムカ 。

近所にゴミの分別・出す曜日をまるっきり無視している人がいますが、誰だかわからないので苦情も言えません。行列に割り込んでくる人、カフェで大きな声でおしゃべりする 人、スマホを見ながら歩いている人 ……マナーの悪い人にいらいらムカムカします。でも、面と向かって注意するのは怖くてできません。この気持ちはどこへ向けたらいいのでし ょう。 (57歳・東京都)

時田ひさ子さんの提案 「自分はこの人よりマシだわ」とマスクの下でニヤリと笑おう

マナーの悪い人、ルールを守らない人って、必ず一定数いますよね。 私も怖いので注意したりできませんが、腹は立ちます。その気持ちをどこに向けているかというと、「この 人たちに社会のルールを守る能力はないのだ」「見かけは同じ人間に見えるけど、異なる人種なんだ」と、一線を引くようにしています。正しいのは私たちなのです。

ただ、いらいらやムカムカは残りますよね。そんなときは筋肉を動かすのがおすすめです。体を動かすと、怒りやモヤモヤが一瞬解消されるのです。殴ったりものを投げたりするのがその一例ですが、暴力行為はよくありませんので、私はニヤリと笑うことにしています。「あの人たち、こんなバカなことしてる」と思いながらニヤリとすると、不思議と気持ちがすっきりします。今はマスクがありますから、笑っても目立たないので好都合。今度、ムカッとしたら試してみてください。

相談4
夫が突然亡くなった喪失感から 抜け出すことができません 。

昨年、夫が脳出血で突然亡くなったのですが、1年経った今でも心が苦しくてつらいです。もっと夫の健康に注意するとか、何かできることがあったのではないかと自分を責め てしまうこともあります。息子はいますが、独立して別居しているので、ひとりの暮らしが寂しいです。
親しい友達は私を気づかって、慰めてくれたり、食事や旅行に誘ってくれたりしますが、その気になれません。「いつまでも泣いているとダンナさんも悲しむよ」と言われても どうしようもないのです。(55歳・静岡県)

時田ひさ子さんの提案 他人には見せていない自分の表情や思いを紙に書き出してみて 。

「そろそろ元気になって」という周囲の期待と、1年経っても嘆いている自分。そのギャップを埋めようと、本当の気持ちを心の奥に押し込めているのではないでしょうか。

心の奥で、あなたはどんな顔をしていますか? 悔やんで悲しんでワンワン泣いている? 静かに涙をこぼしている? 他人には見せない自分の顔を、絵や言葉にして紙に書いてみましょう。後悔していることも具体的に書き出してみましょう。

その作業の中で、もしかしたら別の感情に気づくかもしれません「夫が亡くなったとき、実は私、少しホッとしていた」……など、別の感情が浮かび上がるかもしれません。でも、どんな感情もすべて正直な気持ちです。全部書き出して、心に受け止めたら、焼却したりシュレッダーにかけたりすればいいのです。

いったん感情を吐き出すことで、 気持ちに変化が起きます。自分の中で何かに「けりをつける」ことができるのです。心身の調子がいいときにやってみてはいかがでしょう。

※この記事は「ゆうゆう」2022年11月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のため再編集しています。

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