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【親の家】実家を相続したら、 住みますか? 売却しますか?【実家相続時の税制】を知っておく

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ゆうゆう編集部

条件に合った実家の売却には3000万円の特別控除が

次に、相続した家には住まず、売却する場合の特例をご紹介します。

相続した実家を売却する場合、売却して得られた収入は譲渡所得に該当します。この譲渡所得からは、取得に要した費用(不明なら売却代金の5%)や、売却するために払った仲介手数料などを差し引けます。また取得費などの他に、表1の条件に該当すれば、3000万円の特別控除が適用されます。

相続した家の売却に適用される特別控除は、空き家対策のために設けられた制度で、譲渡所得にかかる税金を軽減してくれるありがたい制度です。家屋を取り壊して更地にしたのちに売却しても適用されます。家屋として売却する場合は、耐震改修が必要になります(図2)。

所有期間で税率は異なるが多くが長期譲渡に該当

取得費や3000万円の特別控除などを差し引いてもなお、収益が残る場合は、譲渡所得税と住民税を支払います。譲渡所得税の税率は所有期間によって異なり、5年以内(※)なら「短期譲渡」となり、39・63%の税率が適用されます。所有期間が5年超(※)なら「長期譲渡」になり、税率は20・315%に下がります。所有期間は親が家を取得してからの期間で、多くのケースが長期譲渡に該当するはずです。

今回は相続人が1人で住んでいた家、つまり空き家を相続した場合に適用される税制をご紹介しました。この他にも、親と同居していた親族が相続し、相続した家を買い替える場合の特例などもあります。こうした特例の存在を知らないと、相続が発生したとき、特例が適用されないで計算された相続税を支払うことになる可能性も。

実家の相続が予定されるご家庭では、「実家の相続 売却 税金」などのワードをインターネットで検索し、適用されそうな制度をきちんと調べておきましょう。


●法制度などは、2022年8月末現在のものです。

※この記事は「ゆうゆう」2022年11月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のため再編集しています。

監修者

ファイナンシャル・プランナー

畠中雅子

ファイナンシャルプランナー(CFP®️)。新聞、雑誌、ウエブなどに多数の連載、レギュラー執筆を持つ。セミナー講師、講演、相談業務、金融機関へのアドバイス業務なども行っている。高齢者施設への住み替え資金アドバイスをする「高齢期のお金を考える会」や、ひきこもりのお子さんの生活設計を考える「働けない子どものお金を考える会」などを主宰。『70歳からの人生を豊かにする お金の新常識』(高橋書店)、『貯金1000万円以下でも老後は暮らせる』(すばる舎)、『病気にかかるお金がわかる本』(主婦の友社・共著)など、著書、監修書は70冊を超える。

ファイナンシャルプランナー(CFP®️)。新聞、雑誌、ウエブなどに多数の連載、レギュラー執筆を持つ。セミナー講師、講演、相談業務、金融機関へのアドバイス業務なども行っている。高齢者施設への住み替え資金アドバイスをする「高齢期のお金を考える会」や、ひきこもりのお子さんの生活設計を考える「働けない子どものお金を考える会」などを主宰。『70歳からの人生を豊かにする お金の新常識』(高橋書店)、『貯金1000万円以下でも老後は暮らせる』(すばる舎)、『病気にかかるお金がわかる本』(主婦の友社・共著)など、著書、監修書は70冊を超える。

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